小林リズムの紙のむだづかい(連載548) 

青林堂刊行の『「ガロ」という時代』に「月刊「ガロ」創刊50周年記念に寄せて わたしが魅せられた「ガロ」の漫画家たち」を執筆した。とりあげた漫画家たちは、つげ義春日野日出志白土三平池上遼一勝又進蛭子能収水木しげる滝田ゆう、の八人。百枚ほど書いて、頁数の関係で二十枚ほど削除した。今回の企画に関しては全面協力、わたしの友人たちにも声をかけて執筆していただいた。此経啓助、下原俊彦、山下聖美、猫蔵、荒岡保志各氏にお願いした。



上製本・294頁。定価1800円+税。装丁・森嶋則子

清水正ドストエフスキー論全集』第七巻。2014年7月31日刊行。D文学研究会発行・星雲社発売。A五判上製585頁。定価7000円+税



清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載548) 
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
小林リズムの紙のむだづかい(連載548)


【最後って知らなかったから】

 


 おじいちゃんが脳梗塞で倒れた。後遺症として右半身に麻痺が残ってしまうから、今まで通りの生活はできなくなるらしい。母から連絡をもらったときには実感がわかなかったけど、実際に会ってみたらいつものおじいちゃんよりも小さくなっていてショックだった。意識はあるけど反応はうまくできない。話すことができない。それなりに覚悟をして会ったつもりだったけど、現実の濃さに負けそうになる。

 医者は信じられないくらいに淡々と残酷なことを無表情に言い放つ。回復する可能性やとても重篤だということ、そしてこれからの生活について。医者のいう情報を聞き流しながら、私は「ああ、おじいちゃんと最後に一緒に映画を観に行ったのはいつだったかなぁ」と記憶を手繰り寄せた。

 もとから面倒くさがりで出不精な人だから、雨が降れば外出はしないし、孫の私が出かけようと提案してもあっさりと断られることもよくあった。協調性がなくせっかちな人だから、一緒にご飯を食べに行っても食べ終えたらすぐにお店を出たがるし、何時何分の電車に乗って何時何分のバスに乗らないといけないと焦るから、一緒に過ごしてうんざりすることもよくあった。競馬と冠婚葬祭だけは率先して出かけにいくような人。家でずっとテレビを見続けているのが好きな人。だから、べつに外出できなくなるからといって困ることはほとんどない。

 夏におじいちゃんと最後に観た映画では、おじいちゃんは途中で寝ていたし、でも私が肘で突つくと面倒くさそうに起きて途中からはちゃんと見始めた。時代劇のコメディー映画だったからそれなりに楽しんでいた。「あれは水戸黄門みたいにハッピーエンドだからいいな」と言いながら満足していたようだった。そのあと一緒にパスタを食べた。

 8月のおじいちゃんの誕生日に電話をしたときは、いつも就職くらいしなさいと諦めも入ったように言っていたのに、そのときは珍しく「りっちゃんは、自分の好きなことをやりなさいね」と言ってくれたのが印象的だった。「言われなくても好きなようにやってるし」なんて返したけど、電話を切ったあとにじわじわとおじいちゃんの言葉が身に染みてきて、ああ、おじいちゃんはおじいちゃんなりに私の生き方を認めてくれる気になったんだな、と思って嬉しかった。

 最後だって知らなかったけど、きちんとした最後でよかった。最後だって知らなかったから自然に楽しめてよかった。

 ICUで横たわっているおじいちゃんに話しかけて、起こすとおじいちゃんは私の顔を見てちょっとびっくりした顔をした。医者の話を聞いたときに泣いてしまっていたからきっと目が腫れていた。私が泣いたことがおじいちゃんにバレていていろいろと察したのかもしれない。私はいつもおじいちゃんと喧嘩っぽく話していたけど、おじいちゃんは決まって、
「でもりっちゃんはおじいちゃんがいなくなったら泣くと思うよ」
 と勝ち誇ったように言っていた。「そんなことないしー」なんて返していたけど、想像さえしていなかったから軽く言えたんだと思う。頑固で偏屈で人の嫌がることばかり言うし、体裁ばかり気にする人だから、しゃべれなくなったら逆に愛されキャラになるかもしれないね、なんて母とれいこさんとしゃべった。
「おじいちゃんが家に帰ってきたときはベッドで寝ていても飽きないようにクラシックでも流しておこうか。それともれいこさんの社交ダンスの曲にする?」
 と嫌がらせじみたことをふざけて話すと、おじいちゃんは「ばかっ」というような表情をつくって、それから布団の下でもぞもぞと動いて、ぶっとおならをした。ゲップとおならばかりのおじいちゃんの、あまりにもおじいちゃんらしいリアクションだった。




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