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清水正

銀河鉄道の夜』の謎

 ドストエフスキー文学の愛好者、研究者は多いが、ドストエフスキーの宗教観に関して真っ向から反対する者は皆無に近い。ドストエフスキーは偉大な小説家で、彼ほど作品世界で人間を深く探求した者はいない。このドストエフスキーの異様なほどに深い人間洞察が、謂わばキリスト教の教義そのものから逸脱してしまうことになる。にも拘わらず、ドストエフスキー自身がそのことを明晰に認識していないところが面白い。ロジオン・ラスコーリニコフ、ニコライ・スタヴローギン、フョードル・カラマーゾフ、イヴァン・カラマーゾフといった屈強な人神論者たちが神に反抗の狼煙をあげても、畢竟彼らは神を打ち倒すことはできない。それは彼ら登場人物はもとより、彼らの生みの親ドストエフスキーキリスト教圏内を俯瞰する眼差しを持っていなかったことに起因する。

 わたしは宮沢賢治の作品に触れて、ドストエフスキーの宗教観世界観を内包する精神世界の広大さを感じたが、しかし宮沢賢治といえども彼独自のユートピア世界の建立に成功したとは言えない。賢治の『銀河鉄道の夜』においてはキリスト教的な来世観、世界観が独自の表現を獲得している。銀河鉄道の列車の窓からカムパネルラはコールサック(石炭袋)の暗黒の彼方に開けた天上の世界(みんなが集まっている本当の美しい世界)を視ることができる。しかし、ジョバンニはどんなに目をこすってみても、その美しい天上の世界をのぞき見ることができない。ジョバンニは突然車内から姿を消したカムパネルラの後を追うことができない。ジョバンニは愛する者を失った癒し難い悲しみを抱えて、ひとり再び地上の世界へと舞い戻る。ジョバンニは牧場主から入手した牛乳瓶を抱えて母の待つ家へと急ぐ途中、同級生の一人から、カムパネルラが川に溺れたザネリを助けるべく、川に飛び込んでそのまま行方不明になっていると聞いて、現場に駆けつける。この現場にカムパネルラの父親が居て、彼は懐中時計を取り出すと、もう四十五分たったからだめです、と息子カムパネルラの死を確信したような言葉を発する。

 『銀河鉄道の夜』は多くの謎を抱えた作品であるが、わたしは『宮沢賢治ドストエフスキー』(一九八九年 創樹社)で父親が口にした〈四十五分〉、ジョバンニが町外れの牧場に取りに行った配達されなかった〈牛乳〉、ジョバンニが家で食した〈トマトとパン〉の象徴的意味などを解読した。〈四十五〉は数秘術的減算すると〈九〉となり、この数字はキリストが十字架上で息を引き取った時間(午後三時、これは古代ユダヤで九時を示す)を意味する。すなわちカムパネルラは死んでも死なない永遠の命をキリストとして描かれている。ジョバンニは宇宙の彼方(本当の美しい天上の野原)に死んでも生きているカムパネルラを幻視している。配達されなかった〈牛乳〉は、すでに死んでいる母親を復活蘇生させる秘薬であり、ジョバンニ(ヨハネ)がこれを入手できれば死者を蘇生させる力を得たことになる。〈トマトとパン〉はキリストの血と体を意味している。すなわち『銀河鉄道の夜』はジョバンニ(ヨハネ)が〈キリスト〉になるその過程を描いた童話であるが、しかし、この作品はジョバンニが母の待っている家に向かう途中で未完のままに幕を下ろしている。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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