随想 空即空(連載28) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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随想 空即空(連載28) #ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 

 泡鳴は「日本主義」(泡鳴全集第十巻所収)の中で次のように書いている。

 

「僕等はわが国民性に同化しない印度的仏教を排斥すると同時に、同じような耶蘇教的思想をも憎悪しなければならぬ。これは独立国家、独立文化を有するものの権利であり、生存条件である。」(126)

 

「信を同じくして初めて四海同胞と云えるが、この人道心には国民性の、乃ち僕等には日本的、制限がある。」(126)

 

「正直に云えば人道の解釈と体現とが、同じ耶蘇教国でも独逸がわと英米がわとでも既に違っているが、耶蘇教諸国とわが国とではまた一層違っている。」(127)

 

「耶蘇教諸国にだッても、無制限無条件の博愛などは実存して来なかったのである。これをしも西洋諸国が実存の如く云い做したのは、その政治家に於いては白人以外の国に対する利用的偽善的名分であり、その宗教家に取ってはまた現実を離れた概念や抽象に安んじての迂闊であった。」(127)

 

「僕等の思想はわが国古来の深大な現世的征服愛の生活方針、乃ち、日本主義に一致するのである。」(128)

 

阿弥陀仏も耶蘇教の神と同様、僕等には彼等の国民的、民族的生活条件の制限内に這入っていないでは、現実の思想若しくは力にはならぬ。」(129)

 

「僕等は由来征服の精神に養われて来た。けれども、それは僕等固有の愛心を宣伝する為めに他国の疑惧や誤解や無理解を征服するのである。そして平和戦で追ッ付かぬ時は、武器を持つまでのことだ。これがわが国の世界に存在する使命でもあり、発展でもある。僕等には空想たッぷりの平和主義や博愛主義は無用である。その代り、正直に征服愛の福音を世界に提供することを以って文明国たり、一等国たる誇りとすべきだ。」(130~131)

 

「戦争も亦生活経営――今の世界的戦争にトルストイが生き残っていたら、渠の如き空想的世界主義者、空想的人類主義者がどんなことを云っただろうかと云うことは、一方では分り切ってるだろうが、また一方では人の好奇心を釣ったであろう。個人同士の争いだッても、それが単にうわッつらの感情ばかりでなくし、その人の精神なり利害関係なりに喰い込んでる以上は、第三者の口ばしや空理的仲裁を入れるべきでない。ましてもッと大きな背景を持ってる国際上の存在若しくは伸展の問題に関してるではないか? 空理や空想がその過半を占めてる人道とか平和とか云うことを以って戦争の原因や結果を簡単に処分出来るものではない。」(139)

 

「第一に、国家の利益と拡張とを考えに入れないで国民としての努力などがあろうか? 欧米の諸強国は皆自国の利益拡張を努めて来たからこそ世界に強国として認められるようになったのである。」(143)

 

 義雄の〈宇宙の帝王〉と泡鳴の言う〈日本主義〉を重ねると、それは〈阿弥陀仏〉とも〈耶蘇教の神〉とも違うことになる。さらにこの〈宇宙の帝王〉は征服愛の精神を全肯定しているから、利益が一致しない場合は武器を取って〈阿弥陀仏〉や〈耶蘇教の神〉とも戦うことになる。〈空想たッぷりの平和主義や博愛主義〉は無用として退けられ、〈征服愛の福音〉を世界に提供することを以って文明国・一等国たる日本の誇りとすべきだと断言している。泡鳴の日本主義は〈宇宙の帝王〉という個人主義と堅く結合しているので、日本国が世界大戦に突入することを懐疑し、拒む理由が存在しない。泡鳴は「第一に、国家の利益と拡張とを考えに入れないで国民としての努力などがあろうか? 欧米の諸強国は皆自国の利益拡張を努めて来たからこそ世界に強国として認められるようになったのである。」(143)と書いて、日本主義の征服愛を正当化する。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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