随想 空即空(連載25) #ドストエフスキー&清水正ブログ# 清水正

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清水正

 

 泡鳴は『斷橋』の中で「僕の刹那的燃焼が全人的に行った時よりほかに、現実の心理はないのだ」「おれが女を買ったのは、米の飯と同様、生活上の必要だ。おれは飯を喰わないで生きてはいられない」、『憑き物』では「渠は、世の無努力もしくは半努力の煮え切らない論客等が、内容貧弱の健全や偉大を得意げに看板にするのを、罵倒したものである。そして、渠等の所詮健全、偉大よりも一層健全、偉大の努力をする為に過敏や衰弱になるのは、却って渠の誇りとするところである。つまり、渠は神経とエネルギとの蕩尽を男性的、威力的に実行するデカダンであると自信して来た」と書いている。

    小説中の主人公を即作者と見なすのは危険だが、しかしやかましいことを言わずに素直に読めば、主人公義雄が泡鳴の内的世界を色濃く反映している人物であることは間違いない。義雄が妻と激しく罵り合ったり、若い女と年齢の差など関係なく本心でぶつかりあったりチチクリあったりしているのを読むと、それを話半分として、つまり事実に虚構の調味料を振りかけて執筆しているとしても、それなりに強烈なリアリティは感じられるので、半分虚構の義雄とは言え、十分に作者泡鳴の生々しい内的世界への参入を経験することができるのである。義雄は泡鳴の魂を体現した人物であって、妥協のない熱烈な内的魂の〈今〉を生きる姿はやはり感動的なのである。泡鳴の生きていた時代も、そして今日の時代においても、世の大半の論客が「無努力もしくは半努力の煮え切らない論客」であることは間違いないし、彼らが「内容貧弱の健全や偉大を得意げに看板」にして商売していることも否定できない。

 週刊誌記者は有名芸能人のゴシップ・スキャンダルを記事にすることはできようが、泡鳴の内的世界に参入することはできない。泡鳴の描く五部作の義雄のゴシップ・スキャンダルが読者にそれなりの感動を与えるのは、義雄に泡鳴の深い思想や心魂の煩悶が反映されているからに他ならない。義雄は若い女と同棲したり、郭通いをしても、それにのみ耽溺していたわけではない。義雄はどんな時にあっても読書と執筆を欠かしたことはない。義雄が考え、執筆しているその豊かな思想内容をよく理解できる者はいない。友人でさえ理解できないものを、同棲した若い女が知るわけもない。泡鳴は義雄の内的世界を吐露することを極力避けている。その意味で泡鳴の五部作は理屈っぽくない。読者は義雄の深遠な思想などに頓着せずに小説展開を存分に味わうことができる。

 わたしは今回、泡鳴の代表作として定評のある『耽溺』や『五部作』を一気に読んだが、一気に読めるだけの種々の魅力が備わっている。ヒステリーの妻、複雑な心理心情を抱えて義雄と同棲し、毒を飲んで自殺未遂を起こしたり、心中を試みて失敗したりする若い愛人清水鳥子も大変魅力的な人物として描かれている。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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目次

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