随想 空即空(連載18) 清水正

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随想 空即空(連載18)

清水正

 

 小林秀雄正宗白鳥の対談を読んで、正宗白鳥の発する言葉に興味を持ち、じっくり正宗白鳥の作品を読んでみようかと思い、最初に読んだのが「論語とバイブル」であった。世界的に評価の高い二著を〈凡書〉と片づけるその大胆さに驚いたが、その理由にはそれなりの説得力がある。ますます興味を抱いたので、ヤフオク筑摩書房刊の現代日本文學全集14『正宗白鳥集』を入手、早速「内村鑑三」を読むことにした。

 正宗白鳥が「内村鑑三」を書いたのは昭和二十四年四月~五月ということで、昭和二十四年二月八日生まれのわたしは、この評論に特別の思いを抱いた。どうでもいいようなことだが、わたしが生まれたばかりの頃に書かれたのかと思うと、妙な因縁も感じたのである。今、わたしは七十三歳、正宗白鳥が「内村鑑三」を書いたのは七十歳になってからである。白鳥は二十歳前後、鑑三の講演を熱心に聞いたり、鑑三の著作を熟読して深い影響を受け、キリスト教に入信している。ところで、白鳥の「内村鑑三」を読むと、彼が鑑三に心酔したことは分かるのだが、なぜキリスト教に入信することになったのか、その理由が今ひとつよく伝わってこない。

 それにもうひとつの疑問が、白鳥はたとえ鑑三が牧師であったにしても、鑑三から洗礼を受ける気はなかったと書いていることである。心の底から心酔していながら、なぜ鑑三ではなく、植村正久から洗礼を受けたのか。この問題に関しては先にも少しばかり触れたが、白鳥は心酔し熱狂した鑑三に彼なりの距離を置かなければならない心的理由があったと思われる。

 白鳥の「内村鑑三」を読んでいると、彼の一筋縄ではいかない天の邪鬼性を随所に感じる。単純素朴な断定の言葉の後に、必ずと言ってもいいほどに〈が〉〈しかし〉を付けて、前言を否定したり、条件付けたりしている。小林秀雄流の利いた風の逆説やレトリックはないが、素朴な文章でありながら油断のならない複雑な、一義的に把捉し得ない複雑な精神の揺らぎを潜めている。自分ではっきりと断定しておきながら、〈しかし〉でたちまちその断定からすり抜けてしまうのである。

 こういった白鳥の文体の特徴を予め了解しておかないと、彼の内的世界の諸相を見間違えることにもなる。たとえば白鳥は〈洗礼を受けた〉従って彼はその時から真のキリスト教徒となったのだと理解することは危険だということだ。やはり、ここでも〈私は洗礼を受けた〉の直後に〈しかし〉という否定が潜んでいたということである。このように理解すると、白鳥が洗礼後まもなくして棄教したことも素直に理解することができる。ただし、「内村鑑三」を読んだだけでは、なぜ洗礼を受けたのかの真相は分からないし、棄教した直接的な理由も分からない。青春期の心酔、熱狂にほだされて洗礼を受けたとすれば、白鳥自身、なぜ洗礼を決意したのか理路整然と説明することはできないだろう。

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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