モーパッサン『ベラミ』を読む(連載46) ──『罪と罰』と関連づけながら── 清水 正  

清水正の著作、レポートなどの問い合わせ、「Д文学通信」掲載記事・論文に関する感想などあればわたし宛のメール shimizumasashi20@gmail.com にお送りください。

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

sites.google.com

 

お勧め動画・ドストエフスキー罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s

清水正の著作、レポートなどの問い合わせ、「Д文学通信」掲載記事・論文に関する感想などあればわたし宛のメール shimizumasashi20@gmail.com にお送りください。

清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208

                清水正・画

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)

モーパッサン『ベラミ』を読む(連載46)

──『罪と罰』と関連づけながら──

清水 正

 

 瀕死のフォレスチェの前に〈魂の牧人〉である僧侶が現れ、「神の御慈悲は無限ですぞ」と言って告解をすすめる。フォレスチェは何かぼそぼそとつぶやく。僧侶が繰り返す「罪深き愛に耽ったというのですな……どんな種類のかね?」と。フォレスチェ夫人とジョルジュはその場を離れる。作者はフォレスチェの〈罪深き愛〉を読者に報告しない。読者は、瀕死の状態にあって死を恐れていたフォレスチェが僧侶の言葉に従って全能の神の御前に〈コンフィテオール〉(悔い改めまつる)を唱え、〈告解〉したという事実だけを報告される。

 ノルベール・ド・ヴァレヌはすべての宗教を馬鹿にしていたが、フォレスチェもまた特に口に出してはいないが、神を信仰していたわけではないだろう。しかし、死に臨んでは僧侶の言葉に従って告解している。十九世紀フランスの多くの国民は、現世で神をないがしろにしていても、畢竟、伝統的なキリスト教儀礼からは逃れられないということなのであろうか。『ベラミ』に限らず、『女の一生』を読んでも、神に対する絶対的な帰依よりは、中庸の精神の方が説得力のある描かれかたをしている。モーパッサンの小説においては、「熱いか冷たいかどちらかであってほしい」という神の要請に忠実な者よりは、「生温い」が故に神の口から吐き出されてしまうような人間が多数を占めている。フォレスチェやジョルジュはもとより、ジョルジュが関わった女たちのすべてもまた神を蔑ろにして生きている。社長夫人のように自分でも理解できない心的領域で、神を利用している女もいるが、この女の告解の場面などは、作者の皮肉で冷徹なまなざしが強すぎて、告解自体がパロディと化している。この社長夫人は神やキリストより以上に〈ジョルジュ・デュロワ〉という色魔を神化して、その前に跪拝しているのである。おしなべて『ベラミ』においては神やキリストが正面きって問題にされてはいない。作者の目は神やキリストに対しても終始冷徹であり、狂信にのめり込むような内的情熱は皆無に近い。2022/10/11 05:18

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

www.youtube.com



大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。 

エデンの南 清水正コーナー

plaza.rakuten.co.jp

動画「清水正チャンネル」https://www.youtube.com/results?search_query=%E6%B8%85%E6%B0%B4%E6%AD%A3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB

お勧め動画・ドストエフスキー罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s

清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208

お勧め動画池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェ永劫回帰アポロンディオニュソスベルグソンの時間論などを踏まえながら

人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

www.youtube.com

 

www.youtube.com

www.youtube.com

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

f:id:shimizumasashi:20220130001701j:plain

表紙

f:id:shimizumasashi:20220130001732j:plain

目次

f:id:shimizumasashi:20220130001846j:plain

f:id:shimizumasashi:20220130001927j:plain

 

 

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。