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有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
モーパッサン『ベラミ』を読む(連載37)
──『罪と罰』と関連づけながら──
清水 正
ジョルジュの思考は水平思考であって垂直思考ではない。彼の眼差しは天に向けられることはないし、地獄へ向けられることもない。宗教や哲学、芸術への志向がないので、彼の眼差しは常に目先のものへと向けられるほかはないのである。彼は茶髪の女のそのグラマーなからだに魅惑を感じ、性欲を刺激されたのであって、彼女の内面世界になど微塵の関心も寄せない。別にジョルジュは女と文学談義をするつもりもないし、またその知識も有していない。内面的に空っぽなのはお互い様ということで、彼らの交渉条件は整っている。一人になったジョルジュはすぐに茶髪の娼婦を発見し、一ルイで交渉を成立させる。先に記したように、女が冗談半分で提起した〈十ルイ〉は〈ただ〉をも意味していたから、ジョルジュの申し出た〈一ルイ〉で十分だったわけである。ジョルジュは残った一ルイで礼服一式を揃えなければならなくなったわけだが、この色男、まんまとただで茶髪をものにした可能性大である。
作者はジョルジュと茶髪の交渉が成立した時点で〈第一日目〉に幕を下ろしている。彼らが茶髪の家でどのような会話をかわし、どのような濡れ場を演じたかは読者の想像にまかせている。読者は彼らの濡れ場を無修正アダルトビデオ並の次元で再現すればいいので、それ以上のものを期待することはない。間違ってもそこに〈ソーニャとロジオン〉〈ソーニャとスヴィドリガイロフ〉の描かれざる濡れ場を想像することはできない。ロジオンやスヴィドリガイロフがソーニャに求めたものと、ジョルジュが茶髪の娼婦に求めたものは質的に雲泥の差があって比較すること自体ばからしいのである。ジョルジュにとって茶髪は肉欲を満足させればいいのであって、それ以上でも以下でもない。二人の関係は、ことが終わればさっさと別れられる仲であり、よほどの想定外の事態が生じない限り、腐れ縁にもならないつかの間の関係に過ぎない。性的関係から形而上学的関係が生まれる可能性などゼロに近いのである。なにしろ何度でも言うが、ジョルジュにはそもそも形而上学が存在しないであるから、茶髪の娼婦に限らず、彼は他者と垂直的な精神的関係を取り結ぶことができない青年なのである。
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「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
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