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モーパッサン『ベラミ』を読む(連載28)

──『罪と罰』と関連づけながら──

清水 正

 

 エドゥアール・マネ(1832-1883)の油絵「フォリー・ベルジェールのバー」(1882年にサロン・ド・パリに出品)に関してウィキペディアでは次のように書かれている。

 

 ミュージックホール『フォリー・ベルジェール』にあるバーが描かれている。中央に描かれたバーメイドの後ろに鏡があり、そこに写るミュージックホールの様子が描かれている。ベラスケスの「ラス・メニーナス」を意識したとされる。

 当時、フォリー・ベルジェールではバレエや曲芸などが行われており、絵の左上には空中ブランコに乗った人物の足が見える。うつろな表情のバーメイドが娼婦であることを、カウンターにあるオレンジの入った皿が暗示する。実際、フォリー・ベルジェールが娼婦を抱える施設であることは広く知られており、モーパッサンはバーメイドを「酒と愛の売り子」と表現している。当時の風俗が写実的に描かれ、上流社会から下層階級まで、時代の明と暗を表現した作品である。マネは何度もフォリー・ベルジェールへ足を運び、最終的には、シュゾンという名のバーメイドを自宅へ招き、カウンターの一部を再現して、絵を完成させた。

 

 モーパッサンはマネのこの絵を見ており、フォリ・ベルジェールを描くにあたって参考にしたと思われる。マネはバーメイドの正面とカウンターに置かれた酒瓶や皿に盛られた果物、その背後の大きな鏡に写ったバーメイドの後ろ姿、および劇場の内部光景を描いている。モーパッサンはジョルジュとフォレスチェの瞳(鏡)に写った劇場内部の光景を描き出す。読者は二人の人物を眼前にとらえながら、同時に彼らの瞳に映し出された光景を見ることになる。彼ら二人の眼差しがとらえたのは〈飾り立てた女の群〉〈色香の褪せた上から白粉だけをごてごて塗った〉女、〈飲物と色事を売る三人の女〉などである。フォリ・ベルジェールに足を運ぶ男たちの目的の第一は〈出し物〉ではなく、まさに〈色事を売る女〉(金で體を売る娼婦)の物色にあり、この劇場は酒と女を求めていたジョルジュに最もふさわしい場所であったというわけである。

 「丈の高い鏡が、女たちの後ろから、彼女たちの背中と廊下を通って行く人間の顔を写している」という描写はまさにマネの絵を髣髴とさせる。〈鏡〉に映し出された光景は現実を忠実に写しだしているが、同時に仮象の世界でもある。〈酒と色事〉といった生臭い欲望渦巻く現実の世界が、仮の幻像的世界でもあることをマネやモーパッサンは鋭く見抜いていたと言える。この謂わば二重視点が備わっていないと作家にはなれない。ジョルジュが〈女たらし〉の能力を思う存分に発揮して上流社会に食い込み、のし上がっていくドラマは、そのドラマの空虚を知り尽くしている者によってのみ描き出すことができるということである。劇場内に漂う〈煙の雲〉もまた、欲望が支配する現実の仮象性の隠喩となっている。

 

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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表紙

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目次

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