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有即無 無即有 有無即空 空即空 空空空 正空 (清水空雲)
モーパッサン『ベラミ』を読む(連載5)
──『罪と罰』と関連づけながら──
清水 正
『罪と罰』の舞台は七月初めの異様に熱い日の夕方、一人の青年が屋根裏部屋から通りに出て思い惑いながらК橋の方へ向かって歩いていくところから始まっていた。一八六五年のペテルブルクの夏(七月初め)は木陰でも三十度近くの酷暑であったと伝えられているが、『ベラミ』の舞台となったパリの〈六月二十八日〉はどうだったのであろうか。西暦が明確になれば、当時の新聞の記録などみれば正確な気温が分かるかもしれない。
二十八日現在、ジョルジュの所持金は〈三フランと四十サンチーム〉ということであるから、〈1フラン=2000円〉とすると日本円で六千四百円に相当する。月末の三十日に給料が支払われるまで、この金で飲食費を賄わなければならないというわけだ。しかし、細かい点、たとえば給料は月末の退社時間に与えられたのか、それとも出社時に与えられたのか、月末が休日の場合は前日に支払われたのか、そういう点にこだわり始めると逆に正確なイメージを持ちにくくなる。六千四百円で二日賄うのか、三日賄うのかでも、金の持つリアリティは異なってくる。というわけで、ここでも細かな点に関しては、専門家の考察に委ねることにしよう。なにしろフランス文化に関するど素人のわたしは〈1サンチーム〉硬貨が存在していたのかどうかさえ知らなかったのであるから。
急遽、「フランスフラン」をネットで調べると「最初のフラン硬貨は1サンチーム・5サンチーム・1ドゥシーム・2ドゥシーム(以上銅貨)、1/4フラン・1/2フラン・1フラン・2フラン・5フラン(以上銀貨)、20フラン・40フラン(以上金貨)が発行されていた。ただし、1801年から1848年の期間、銅貨は発行されず、1/4フランが最小価値の硬貨であった。この時期は、フラン以前に流通していた銅貨が、1スー=5サンチームとして通用していた。/1848年には青銅貨が作られはじめ、1853年からは1サンチーム・2サンチーム・5サンチーム・10サンチームの硬貨が発行されるようになった。この時1/4フランはなくなり、代わりに1849年から1868年までは20サンチーム銀貨が発行されていた。さらに金貨にも変化があり、40フラン硬貨が消えて、5フラン・10フラン・50フラン・100フラン硬貨が導入された。5フラン金貨は1869年、5フラン銀貨は1878年を最後に発行が終わった。1903年には25フランニッケル貨が作られるようになった」とある。
ついでに紙幣に関する記事も見ておこう。次のように書かれている「最初に登場したフランの紙幣は1795年にアッシニアとして発行された100フラン・10,000フランである。翌1796年には25フランから50フランのものが、さらに100フランのものが発行された。/1800年、この年に設立されたフランス銀行がフラン紙幣の発行を開始する。この時は500フラン・1,000フランの2種類であった。1840年代に100フラン・200フラン紙幣が追加され、1860年代から1870年代にかけて5フラン・20フラン・50フランが加わるが、200フランは発行されなくなった」。ちなみに〈アッシニア〉に関しては「1789年12月19日から1796年3月10日までの間、フランス革命期のフランスおよびその姉妹共和国で使用された紙幣である」と書かれている。
〈ドゥシーム〉に関しては「フランは十進法で1フラン=10ドゥシーム=100サンチーム」とあるから〈1ドゥシーム=10サンチーム〉となるが、ドゥシーム硬貨が存在しなかったのであれば、〈10サンチーム〉を〈1ドゥシーム〉、〈20サンチーム〉を〈2ドゥシーム〉と呼んでいたのだろうか。
十九世紀パリで発行されていた硬貨と紙幣が分かったので、ジョルジュの所持金〈三フランと四十サンチーム〉の内訳は〈1フラン銀貨〉三枚と〈10サンチーム硬貨〉が四枚の計七枚と想像できる(1/4フラン・1/2フラン・1フラン・2フラン銀貨〉の組み合わせで〈三フラン〉の内訳を考えると面倒なので、とりあえずこのように見なしておく)。ジョルジュが食事代として〈5フラン硬貨〉一枚を差しだし、お釣りにいくらもらったのか明記されていないので、食事代がいったいいくらだったのか分からない。いずれにしてもジョルジュの所持している小銭に必要以上にこだわっていると、こちらの頭が小銭並にジャラジャラしてくるのでこのへんでやめておこう。
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「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
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