林芙美子は1903年に生まれた。来年2023年は生誕120周年を迎える。

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清水京子画

林芙美子1903年に生まれた。来年2023年は生誕120周年を迎える。わたしは2010年から「『浮雲』研究のために屋久島へ」を本ブログで連載したが、このたび林芙美子生誕120周年に向けて再録することにした。林芙美子の代表作『浮雲』は重要な作品であり、ドストエフスキー研究家にとっては必読書である。何度でも言うが、林芙美子の文学は本物であり、世界文学の地平において読み直されなければならないのである。

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『浮雲』研究のために屋久島へ(連載第一回)

 

ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作   D文学研究会発行本 屋久島は仏印のダラット、伊香保と並ぶ重要な舞台

    九月一日から三日まで鹿児島の屋久島へと研究旅行へ行く。現在、林芙美子の『浮雲』論を執筆し続けているが、屋久島は仏印のダラット、伊香保と並ぶ重要な舞台である。

 敗戦後、農林省を辞めて材木商に転身した富岡は事業に失敗、家を売り払い、両親と妻を叔母の家に預け、金策に走り回るが思うように事は運ばず、ゆき子と心中するつもりで昭和二十一年の暮れに伊香保の金太夫旅館につく。が、富岡は死ぬこともできず、時計を一万円で買ってくれたバー「ボルネオ」の向井清吉の若妻おせいと関係を結んでしまう。

 おせいは富岡を追って東京に出てくるが、復縁を迫る向井に殺害されてしまう。ゆき子は妊娠するが、迷った末に堕胎し、伊庭の妾となる。富岡は、妻の邦子が病死してもその棺桶を買う金もなく、ゆき子を訪ねて金を借りる。

 成瀬巳喜男監督の映画ではきれいごとの次元で処理されているが、原作ではこの時、富岡とゆき子は性的関係を結んでいる。伊庭は大日向教というインチキ宗教で大金持ちになっているが、ゆき子は六十万の金を盗みだして、屋久島の営林署に就職の決まった富岡を追って行く。

 鹿児島で病気になったゆき子は、無理を押して富岡と一緒に屋久島へとつくが、富岡が営林署へ出かけた後、病状が悪化し、誰にも看取られることなく息を引き取る。

 一人残された富岡は今後どのように生きていくのか。敗戦後六十五年たっても、富岡の〈その後の運命〉は現代の大いなる課題としてわたし達の眼前に突きつけられている。

 わたしは「『浮雲』と『罪と罰』」論で、林芙美子の『浮雲』がいかに重要な問題を孕んでいる小説であるかを検証したが、ゆき子亡き後の富岡の運命を考えることは、現代日本人すべての今後の運命を考えることでもあると思っている。

 これから、屋久島旅行の研究成果を写真を交えながら紹介していくことにしたい。今回は羽田を出発して屋久島に着くまでを紹介。

              飛行機から見る富士山

機内にて林芙美子屋久島関係の文献を読む

鹿児島空港にて

鹿児島本港南埠頭に向かうバスから桜島を眺める

鹿児島本港南埠頭から見る光景

鹿児島本港南埠頭の乗り場の案内室

鹿児島本港南埠頭の乗り場から見る高速船

鹿児島本港南埠頭から見る桜島

鹿児島本港南埠頭から見る海の光景

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