愛するものを失った悲しみの叫び〈ピーッ!〉が聴こえるか!

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                清水正・画

 

愛するものを失った悲しみの叫び〈ピーッ!〉が聴こえるか!

清水正

 坂本龍一の「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」(連載第2回「新潮」8月号)に次のような文章がある。

  生物学の分野でも哲学の分野でも「動物に感情はあるのか?」という議論を目にしたりするけど、ぼくに言わせれば「ふざけんじゃねえ、あるに決まっているじゃないか!」のひとことです。
  10年ほど前に、フランスで話題になった何枚かの連続写真があります。道端に燕の夫婦がいて、どうやら妻の方が少し前に交通事故に遭ってしまった。その怪我を負ってグッタリした妻のもとへ、夫の燕が何度も頑張って餌を運びながら、励まし続けるんですね。だけど最後には妻が力尽き、死んでしまう。すると、それを知った夫が大きな口を開けて「ピーッ!」と、全力で叫ぶ――その一連の様子がカメラで捉えられていました。本当に辛く、悲しい場面です。(199)

  愛する者を失った悲しみ、憤怒の叫び〈ピーッ!〉に感応する心のないものが文学や芸術に携わることはできないだろう。わたしはこの〈ピーッ!〉でドストエフスキーの作品を読み続け、宮沢賢治の作品を読み続けている。

 理屈を並べればどんなことでも言えるが、この〈ピーッ!〉に感応できない生物学者、科学者、哲学者は未だ世界の神秘に直面しているとは言えない。動物どころか、すべての昆虫、魚、植物にも、わたしは感情が備わっていると思っている。

 だから辛いのだ。この世界に生きるものは例外なく、他の生きものを食して生きている。燕も生きるためには虫を餌としなければならない。宮沢賢治の『よだかの星』や『フランドン農学校の豚』などを読めば、憤怒の一義の声を大きく発することはできず、深い沈黙の深淵にたたずむほかはなくなる。

 わたしは沈黙せざるを得ない深淵を抱え込みながら、それでも〈ピーッ!〉となきつづける。それがわたしの文学であり批評である。
 今、ウクライナの戦場で、いたるところで〈ピーッ!〉が叫ばれている。プーチンはこの叫びをどのように聴いているのか。
 

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令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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