《芸術の核ミサイル》柳原義達氏の彫刻「風の中の烏」

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撮影は清水正
《芸術の核ミサイル》柳原義達氏の彫刻「風の中の烏」

 

今年に入って一番衝撃的な出来事は、日大芸術学部に設置された彫刻「風の中の烏」である。

授業を終え、西棟を出てすぐにそれはあった。なんだこれは! である。日芸美術学科の主任教授を務めた柳原義達氏の作品である。柳原氏の作品は日芸創設者松原寛の彫刻や学内に飾られていた作品で見知っていたつもりでいたが、この「風の中の烏」と名付けられた作品は別格の衝撃力を備えている。大げさではなく、わたしの魂を直撃した。

この彫刻は塊、極限にまで凝縮された塊であり、恐るべき破壊力を秘めた核爆弾に匹敵する、否、それをも超えた塊である。わたしは日芸の庭に《芸術の核ミサイル》が令和元年五月に設置されたと強く感じた。風は超越的なるものの息であり精神である。自由で広大深遠な魂の領域に舞う〈烏〉が、今、日芸の地に翼を休めている。この〈烏〉が持つ恐るべき破壊力と創造力に親近性を覚え、魂の戦慄を感じる者は、この〈烏〉と共に果てしのない天空を舞うことになろう。

破壊と創造の両翼を広げ、江古田の地に降り立った日芸同志諸君、広大無辺の自然世界を、深遠なる精神世界を思う存分飛び続けようではないか。