清水正 池田大作論(3)

池田大作の『人間革命』を語る──ドストエフスキー文学との関連において──」

動画「清水正チャンネル」で観ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=bKlpsJTBPhc

 

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk

池田大作(3)

清水正

 わたしが牧口常三郎戸田城聖の伝記を読んでいて疑問に思ったのは、なぜ戸田城聖は師匠である牧口が留置所で獄死したにもかかわらず、日蓮正宗へ復帰したのかということであった。そもそも牧口常三郎が逮捕されたのは、国家神道を押し進める軍部の要請を受け入れた日蓮正宗に対して、あくまでも日蓮の教えに忠実たろうとしたことにある。日蓮正宗はよりによって神礼を貼り付けることを了承した。牧口常三郎日蓮正宗の申し入れを毅然とした態度で拒否した。日蓮の教えに忠実であれば神礼を受け入れることなど出来うるはずはない。しかし自己保身に走って国家権力に迎合した日蓮正宗の坊主たちは、牧口常三郎とその門弟たちを見捨てた。その結果、牧口常三郎戸田城聖など創価教育学会幹部21人が逮捕され留置所に拘留された。

 牧口門下のうち戸田城聖を除いた19人すべてが退転した。後にどんな自己弁解をしようが、彼らが牧口常三郎を裏切ったことに間違いはない。彼らは信仰よりは生活を選んだ。彼らにとって信仰は妻や子を犠牲にしてまで、貫き通すものではなかった。牧口は東京拘置所で73歳の生涯を閉じる。戸田城聖は一人、獄死した牧口の無念を受け止める。  戸田城聖は獄中で日蓮の御書を身読する。やがて日本は敗戦を迎えるが、戸田城聖は昭和20年7月3日に釈放され、焦土と化した東京の荒野にひとり立つ。戸田城聖の使命は牧口常三郎日蓮仏法に基づく創価教育構想を実現することにあった。

 問題は、戸田城聖の胸の内に、国家の意向(国家神道)に迎合した日蓮正宗の僧侶たち(まさに彼らは日蓮の教えに背いた者たちであった)をどのような思いで受け入れたのかということである。日蓮正宗国家神道に迎合した時点で、なぜ牧口常三郎は、また戸田城聖は彼らとすっぱり手を切らなかったのか。『人間革命』では繰り返し日蓮正宗の裏切りが語られているが、それを読むたびにわたしは彼ら二人の日蓮正宗への帰依に疑問を持たざるを得ないのである。