戸田浩司 芸術学部図書館長・清水正先生の思い出(1)

 

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
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清水正ドストエフスキー論全集第10巻が刊行された。
清水正・ユーチューブ」でも紹介しています。ぜひご覧ください。
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ドストエフスキー曼陀羅」特別号から紹介します  

芸術学部図書館長・清水正先生の思い出(1)
戸田浩司

 

●清水先生との思い出その一 
~文芸学科主任時代~
 
あれは二〇〇二年二月頃のことだったろうか。庶務課にい た私は当時文芸学科主任の清水先生の研究室にうかがったこ とがあった。その頃の私は業務における清水先生との接点は ほとんどなかったが、確か用件は書類への押印依頼だったよ うに思う。先生は特にその風貌の点で圧倒的な存在感を放っ ていたので、こちらとしては少し緊張して相対したように記 憶している。用件を手短に済ませ早々に「失礼します」と 言って先生の研究室を退出しようとしたその時、突然呼び止 められ「この本を差しあげますからぜひ読んでみてくださ い」と手渡されたのが『宮崎駿を読む:母性とカオスのファ ンタジー』(清水正著、鳥影社二〇〇一年発行)だった。表紙には宮崎駿の作品「千と千尋の神隠し」に登場するカオナ シが、黒装束を身にまとっている。その上半身を緋色の背景 が支え、黒色と緋色の色鮮やかなコントラストに加えてカオ ナシの顔の部分が白抜き(顔がないから)になっている非常 に印象的なデザインだった。
 
清水先生は宮崎駿作品も研究対象だったかな、という程度 の印象を抱えながら、てっきり映画「千と千尋の神隠し」に 関する解説本だと思い込みつつ、庶務課に戻って頂戴した本 を開いてみた。目次を見て解説本だと思っていた当てが外れ た事を知った。「千と千尋の神隠し」以外にも「『天空の城ラ ピュタ』を読む」や「アニメ版『風の谷のナウシカ』を読む」、 「マンガ版『風の谷のナウシカ』を読む」に続いて「となり のトトロ」に関して扱っていたからであった。宮崎駿の数々の作品についてさまざまな角度から批評している本だという ことがうかがえたが、続いて本文を開いてみるとそこには画 像が一切ない文字だけの世界が展開されていた。しかし画像 がなくても映画「千と千尋の神隠し」と「となりのトトロ」 は私も既に観ていたので、本書の中で指摘されている場面や 情景、ストーリーなどがすぐに理解できた(「風の谷のナウ シカ」は観ていないので想像不可)。清水先生は「千と千尋神隠し」の映画を何回観てこの批評を書かれたのだろう か、と当時の私は率直に思った。ここまで細やかな観察・洞 察をするには幾度となく映画を繰り返し観なければ書けない であろうと思っていたからである。しかし今なら清水先生が おそらくこの映画を一度観ただけで書かれたであろうと推察 できる。先生は感動を覚えたものに対する熱情を一気に文字 で表現なさる方だと理解しているからである。