清水先生へ  宮藤あどね

本日23日は芸術資料館で午後三時より

第一部「清水正ドストエフスキー論執筆50周年 

清水正先生大勤労感謝祭」第一部「今振り返る、清水正先生の仕事」

四時二十分より

第二部「清水正先生による特別講演

「『罪と罰』再読」が行われた。

詳しいことは後日報告したい。

今回はわたしのゼミの学生で

現在、タレント、グラビアアイドル、女優、写真家 として活躍している宮藤あどねさんの文章を紹介したい。

本来、この文章は「ドストエフスキー曼陀羅」特別号に掲載

されるはずであったが、どういうわけかもれてしまったらしい。

 

清水先生へ

あの頃の私は尖って尖って誰に対してもチクチクして自分をも蝕むくらい尖ってとにかく痛い子でした。

ニチゲイと言う個性派集団の集まりに入学しても浮いていたそんな私にも居場所を与えて下さったのが清水先生でした。

清水先生は、どこにも行く宛のない異端児を目を掛け水をやり、叱咤激励し、たまに中華料理を振る舞い、紹興酒を飲みながら語りかけ、教養を叩き込んでくれました。大きな心で愛で包み込んでくれました。先生は故郷であり、私の人生の師でした。

今になって、教えてくれた言葉の意味。重さや意図をしみじみと思うのです。私は馬鹿野郎ですね。清水先生は、大学の宝だと思う。いや日本の宝です。引退と言う言葉を聞いて受け入れたくなかったし、自分の愚かさを知りました。先生、お願いだから教壇にそして壇に戻って来てください。そう言いたい。でも私が出来る事は貴方の意志を受け継ぎ、世の中に受け入れて貰う事。そしてこんな素敵な人が居たと語り継ぐ事。そしたら先生は壇上にいなくても生き続けます。

出来損ないの娘は、粗削りながら自分の才能に挑戦し、世の中に勝負しようと必死に向かいに行っています。どうかあの日水を与えて良かったと思って欲しいです。それだけです。
あどね