石川茂展開催中 日藝アートギャラリーにて

昨日五月六日、守衛室前から見えた絵画に誘われるようにアートギャラリーに足を踏み入れた。受付にいた石川氏にお話を伺うことができた。氏は1989年日藝美術学科絵画コースを卒業した後、 佐野日本大学高等学校に勤務、美術教師をしながら絵画制作に励んでいるとのことだった。


石川氏の絵画には荒々しい原初的なエネルギーの湧出と幻想的、牧歌的なポエジーの統合を感じる。童画的な自在なイメージの世界に象や牛やライオン、兎や鶏がその野生を失うことなく生きている。現実の世界はますます希薄度を高めているが、石川氏の絵画には原初の叫び、熱いマグマが吹き出している。


石川氏の絵画は、不断に精神の火山活動をなしている者のみに可能な、烈しく、熱く、妖しい魅力を放っている。童画的、牧歌的なイメージに惹かれてぼんやり観ていると、突然、猛獣の鋭い眼光に射抜かれたりもする。展示会場に一歩足を踏み込めば、野性的な緊張とほのぼのとした弛緩の入り交じった、原初のエネルギーと牧歌的な空想の世界に存分に遊ぶことができる。


昨年の十一月には鷹尾俊一氏の彫刻展に魂を直撃されたが、今回は原初的、牧歌的、幻想的な烈しくも妖しい石川氏独自の世界に遊ぶことができた。
展示会は五月九日まで開催されている。ぜひご覧ください