星エリナのほろよいハイボール(連載122)

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星エリナのほろよいハイボール(連載122)

足湯で寝る
星エリナ
 

 前回のエッセイでは諏訪湖の夜について書きました。諏訪市への一人旅の話。今回は翌朝の話です。
 上諏訪での朝。ビジネスホテルに泊まっている人たちは平日なので仕事へ行く。朝はやくからホテルでの朝食を食べて、出勤するようだった。私はそんなサラリーマンたちを横目に、まずお風呂へ向かった。ビジネスホテルだけど、ここのお風呂は温泉だった。旅館のように広い浴槽ではない。だけどこの時間、誰もお風呂に来る人はいなかった。いるのは唯一、一人旅で時間に余裕がある私だけ。一人では広く感じる程度ののんびりとした温泉だった。
 お風呂から出てのんびり朝食へ。サラリーマンたちはチェックアウトしている時間だった。お風呂同様、のんびり朝食を食べる私。優雅な朝、とまでは言えないけれど、急いでホテルを出て行くサラリーマンを見ているといい気分になった。嫌なやつですね、私。
 時間だけは優雅に使って、ギリギリでチェックアウトした私は、リュックを背負って諏訪湖まで歩いた。特に二日目の計画をしていなかったからだ。昨日は曇っていて、少し雨が降っていたけれど、その日は晴天だった。景色が良い。向こう岸も見える。四角いホテルがたくさん建っている。それはきっとこちら側も同じ。湖岸のホテルが高層なのはきっと、どの部屋からも湖を一望できるからだと思う。レイクビューってやつ。なんか、自然が多いこの場所に合わないなーと思いながら、湖岸公園のベンチに座ってぼーっとしていた。そろそろおなかがすいたな、と思ったときにふと立ち上がって、駅へ向かった。
 駅中のコンビニで小さめの駅弁を買って、ホームへ入る。次の電車は40分後だった。長い待ち時間。都内であればありえない。私はすぐにあるところへ向かった。そこはホームにある足湯だ。もちろん本物の温泉。上諏訪駅はこの足湯がとっても有名だ。靴を脱いで靴下も脱いで、タオルはハンドタオルしかないけれど、足だけなら問題ない。私は迷わず両足を突っ込んだ。
「ふぅ……」
 こんなに時間をのんびりと使ったのは久しぶりだった。誰もいない足湯で少しバタ足をしてみたり。のんびり空を見たり。贅沢者だ、と自分で笑った。そしてしばらくして。気がつくと、私は足湯で寝てしまっていた! 背中にあった岩によっかかったまま、目を閉じて寝ていたようだ。はっとして周りを見るとサラリーマンが一人、私と同じような一人旅の男の子が一人、あと主婦らしき女性が一人。えっ、さっきまで誰もいなかったじゃん!
 慌てて時計を見ると私が乗る電車の10分前くらい。30分ちかく寝ていたようだ。恥ずかしくなって俯いたけれど、あんまり周囲の人は気にしていないみたい。寝てること、気付かれなかったかな。主婦らしき方が足湯から出ようとしたから、せっかくだし一枚写真をお願いしました。一人旅って、自分が映っている写真がないから少し寂しいんだよね。
 それからちょうどいい時間になって、私はまた青春18きっぷを使ってのーんびり埼玉へと帰った。買っておいた駅弁をいつもより時間をかけながら食べる。それからまた景色を見て、でも次第に都会の風景になっていくのが嫌で寝たりしながら、揺られて帰った。
 地元の駅に着くと、いつも通りの時間軸に戻った気がした。人々は俯いたり、携帯をいじりながら、景色なんて見ることなく歩いている。歩くスピードもはやい。立ち止まるとぶつかられて、謝らずに舌打ちされる。
 地元が大好きだったけれど、なぜかすごく寂しくなったのは覚えている。


 

  



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