星エリナのほろよいハイボール(連載117)
清水正への原稿・講演依頼は qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー・宮沢賢治・宮崎駿・今村昌平・林芙美子・つげ義春・日野日出志などについての講演を引き受けます。
←「人気ブログランキング」に参加しています。応援のクリックをお願いします。
ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/
四六判並製160頁 定価1200円+税
京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
『ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp
清水正へのレポート提出は qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
←「人気ブログランキング」に参加しています。応援のクリックをお願いします。
星エリナのほろよいハイボール(連載117)
ジェットコースターの一番上でキスする
星エリナ
前々回からの続きです。クリスマス前に彼氏ができて私は有頂天。イブはアルバイトだったけれど、21時までだったから、それから電車に乗った。ロックバンドのファン仲間の人の家で、クリスマスパーティーをするからだ。途中、乗り換えの駅で彼氏の金髪さんと合流。金髪さんは私にクリスマスプレゼントを買ってくれていた。私は全く気にしてなかった。今更ですが、すいませんでした。
プレゼントはバーバリーの香水。私が欲しかった香水を伝えておいたので、それを買ってきてくれた。が、二つ買っていて、どうやら自分も同じものをつけるらしい。同じ匂いでいたいなんて、ちょっと可愛らしい人。私が喜ぶと金髪さんも喜んでくれて、それがまた私は嬉しくて、なんて優しい大人な人なんだろう。って思っていた。たぶんこの時が私の恋のピーク。恋はジェットコースターなんです。そう、この日が一番上。
クリスマスパーティーを開いてくれたファン仲間の人の家の最寄り駅に着いたのは23時ごろ。駅にはほっとんど人がいない。改札まで迎えに来てくれているらしく、待たせてはいけないと思い私は少し急いだ。すると金髪さんは私の前に立った。
「?」
ぽかん。何してるんだろう。
「あの人行ったら、充電させて」
階段とエレベーターの間。振り返るとおじさんが一人いる。それ以外には私たちだけ。おじさんはすたすた改札へ向かう。通り過ぎたのを見てから、私は金髪さんを見る。身長差はたぶん、25センチくらい。ヒールを引いても20センチくらい。それくらい背の高い金髪さんの顔が、すぐ近くにある。
私たちは誰もいない駅でキスをした。金髪さんはまた嬉しそうな顔をしてくれて、「もう1回」と笑ってまたキスをした。
クリスマスパーティー中もずっと私の横にいてくれて、飲み物も食べ物も私の世話を焼いてくれた。いつか、どうして私を好きになったのか聞いたら、「甘やかすと甘えてくれるから」と言った。
ここまでが登り。ゴットゴットとゆっくり登っていって一番上まで行くとあとはもうすごい勢いで下るだけ。この間テレビ番組で見たんだけど、ジェットコースターには法定速度がないんだって。安全基準さえ守っていればいくらでもスピード出してスリルを求めることができる。世界で一番速いジェットコースターはアラブ首長国連邦にあるらしい。
恋愛のジェットコースターではもしかすると私が日本一かもしれない。この後、何度かご飯へ行ったり、買い物したり、デートしていくうちに、なぜか私の中で恐怖が生まれはじめ、次第に距離をとりはじめる。
結果、この恋も二ヶ月で終了した。最後の一ヶ月はほぼ会っていない。特にケンカをしたこともなかった。結局別れた理由はなんだったの? って聞かれるとすごく困る。だんだん面倒くさくなっちゃったから? 飽きちゃったから? 一番自分が納得できる理由は、私の中のジェットコースターが下っちゃったから。それだけなんだよね。
←「人気ブログランキング」に参加しています。応援のクリックをお願いします。
※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。