星エリナのほろよいハイボール(連載116)

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星エリナのほろよいハイボール(連載116)

テーブルの下で手を繋ぐ
星エリナ


 

 
 前回の続きでございます。
 ロックバンドにはまった私。ファンの仲間が集まってできたグループに所属して早一年と少し。私は大学生になりました。大学生になったばかりのとき、金髪さんはグループに女の子を二人連れてきた。昔の私たちのように、知らない人たちに緊張している。どうやら金髪さんがmixiで彼女たちに知り合い、彼女たちがファン仲間を増やしたいと言ったため、このグループに連れてきたようだ。でも、グループ内ではグッズの交換をしていてみんな彼女たちに話かけてあげなかった。そこで金髪さんは私のところへ二人を連れてきた。
「年齢近いし、女の子だし。仲良くしてあげてよ」
 ちなみにほくろちゃんはグッズ交換中。緊張した様子の彼女たちに親近感を覚え、私はたくさん話をした。どの曲が好き? 誰が好き? ライブは何回目? 話をしている途中で、私は金髪さんの視線を感じた。ちらっと見ると目が合って、笑ってくれた。良い子だな、とでも思ってくれたのだろうか。その時私は全く金髪さんに恋愛感情を抱いていなかった。だって、12歳も年上の社会人が、私みたいなぱっぱらぱーを恋愛対象にするとは思わなかったから。
 その次のライブでグループに入ったきたチャラ男がいた。彼はチャラ男特有の社交性があり、彼のおかげでグループはかなり仲良くなった。それが良いことだったのかは、今ではわからない。でもその頃は彼のおかげですごく楽しかった。秋ごろからよくカラオケに行くようになり、チャラ男の家で鍋パーティーもした。私はといえばかなりグループのみんなと仲良くなれたので、ほくろちゃんが来なくても参加するようになった。カラオケもご飯もほぼ毎回参加した。そこに私と同じくほぼ毎回参加していたのが金髪さんだ。金髪さんはやっぱり大人で、私の悩みや困っていることは全部聞いてくれた。
「イヤホンが漏電してるー!」
 ある日バカっぽくそう言ったことがあった。イヤホンをして音楽を聞いているとバチバチっと電気が走って耳が痛いことがよくあったからだ。たぶん、静電気のせいだろうって気付いていたんだけど。すると次に会ったとき、金髪さんは私にイヤホンをくれた。なんと秋葉原にあるイヤホンの専門店でお店の人に聞いて、静電気が起きにくいのを買ってくれたのだ。私はすごく驚いたけれど、そのときから金髪さんに恋愛感情を抱き始めた。
 毎晩のようにメールして、たまに寝る前には電話して。完璧に好きって思ったのは、みんなで夜ご飯を食べに行ったときだ。その日、本当は私は誘われていなかった。別に嫌われてたって意味じゃなくて、mixiに予定があるって書いていたから、誘われなかっただけ。でも金髪さんが夜は暇かもしれないからって当日に連絡してきてくれた。実際夜は予定がなかったので、誘ってもらえて嬉しくて、そのご飯会に参加した。待ち合わせ場所に着くと、すぐに金髪さんが私を見つけてくれた。
「来てくれてありがとう。すっごい嬉しいよ」
 そう言って笑う金髪さんを当時の私はイケメンだと思っていた。そして当たり前のように私を隣に座らせてくれる金髪さん。なんでもかんでも面倒を見てくれる。嬉しかった。
 私の正面に座った元料理人の男の人は語りだすと熱い人。私は正直、どうでもいいと思っていたけれど、金髪さんは誰の話でも真剣に聞いてくれる聞き上手。私は隣で人が良いな、と思っていた。すると急に、金髪さんの手だけが動いて、私の手を握った。ビックリしたけれど、元料理人さんが熱く語っているから、必死に堪えた。金髪さんもさっきまでと同じように聞きいている。テーブルの下で、私と金髪さんの間だけの事件。誰も気付かず、普通に食事をしている。すごく緊張して、ドキドキがとまらなくなって、ごまかすために、なぜか私まで元料理人さんの話を必死に聞いた。話の内容は全く頭に入ってこなかったけどね。
 その日から本格的に恋がはじまって、気がついたら、クリスマス前に告白されていて、私も当然のようにオッケーした。なにこれ、少女漫画みたいかもって思いながら、きっとこれからもっと楽しいんだろうなってわくわくしていた。



 



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