どうでもいいのだ──赤塚不二夫から立川談志まで──(連載6)

どうでもいいのだ
──赤塚不二夫から立川談志まで──(連載6)
まずは赤塚不二夫・対談集『これでいいのだ』から
清水正


漫才もギャグ漫画もスピード感にあふれていた


 ビートたけしの漫才はスピード感にあふれていた。当時人気者の漫才コンビはまさに新幹線のごときスピードで突っ走っていた。これは漫才だけに限らずギャグ漫画においても同様な現象が見られた。赤塚不二夫の『おそ松くん』『天才バカボン』そして森田拳次の『丸出だめ夫』も実にスピード感にあふれていた。彼らの漫画にあってはスピードとギャグは密接に繋がっていた。言葉や行動がのろのろしていたのでは彼らのギャグはその効果を十分に発揮しないのである。丸出だめ夫はいつも駆け回っているが、それだけでは足りずにタイムマシーンに乗って、一瞬のうちにどこへでも出かけたりする。