星エリナのほろよいハイボール(連載106)
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星エリナのほろよいハイボール(連載106)
山を登る
星エリナ
台風が心配されるなか、私は伊豆旅行へ行った。目的は特にない。仲が良い友人とのんびり過ごすため。温泉でキレイになりたいため。そんな感じだ。きっちりとした目標を持つことはとても大切なことだけど、ゆとり世代はそれが苦手だ。目標を達成できなかったら? そもそも目標が人とはかけ離れていたら? テレビのなかで謝罪を繰り返すオトナたちは何を間違えたのかばかり考えてきた。
東京駅11:30集合。同行者からの電話が集合時間10分前。
まだ地元駅にいる。さらに財布を忘れたとのこと。
まぁうまく集まれるとは思っていなかったのでまだ少し余裕はある。財布は同行者の父がタクシーで届けてくれて、そこから急いで東京駅へ。着いたのは11:50。ちなみに踊り子号で伊豆まで行くのだが、踊り子号出発は12:00。同行者は東京駅で売っている牡蠣弁当を所望。私は正直なんでも良かった。あと10分で出発する踊り子号は必ず乗らなくてはならない。東京駅を走り回りようやく駅弁屋を発見、購入した。ここまでですでにかなり疲れている。
無事に踊り子号に乗ることができ、二人で駅弁とお酒を片手に語りながら伊豆へ。伊東駅乗換えだったので、そこで下車すると、かなり寒い。台風は過ぎたがその日は朝から雨だった。ホームを容赦なく風が吹く。私たちは次の電車がくるまで20分間、ぷるぷるしながらホームで待った。それからホテル最寄り駅の川奈駅へ。ホテルへは無料送迎をお願いしていたが、その前に近くにある小室山公園へ行く計画を立てていた。小室山公園はそのまま小室山の上にある自然公園だ。季節になるとつつじの花がとてもきれいだし、紅葉を見るのにもってこいのスポットだ。しかし、雨。地図を見ると歩いていけそうな距離だ。
私は同行者とともに小室山を登った。ちなみに傘は同行者が持っていたものだけ。相合傘をしながら、途中持ち手を変えながら、約20分、山を登った。かなり疲れた。歩いて体はあったまった。
ようやく登った小室山公園。うん。やはり雨でもやもやっとした公園だ。大きめな東屋と小さな池があったのでそこで一休み。天気は悪いけれど雨宿りにはぴったりで、写真も撮れたので満足。雨の音を聞きながら澄んだ空気を吸う。二人のんびり座って話すだけでも楽しい。しかし休憩すると今度は体が冷えてくる。もう少し高いところにも東屋を見つけたので、私たちはもう一度山を登り始めた。さらに上へはロープウェイで行けたようだが、天気が悪いせいで運行もしていないようだった。上の東屋周辺ではなんと野生のうさぎを発見。白くてきれいなうさぎは草を食べ、私たちに気付くとかけて逃げてしまった。
なんだか雨が見せた幻だったんじゃないかとも思ったけれど、ちゃんと写真に写っていたので本物のようだ。
上からの景色もなかなか良かった。少し紅葉が始まっていて、ちらほらと赤い葉が見えた。それでもやっぱり寒い寒い。
駅まで戻ってホテルの送迎バスに乗り、部屋に入ると私はさっさと温泉へ向かった。なんだか頭痛がしていたし、私は鼻水が出ていて同行者はくしゃみを連発していた。やばい、もしかして二人して明日寝込むかも。そう思っていたけれど、温かい温泉につかって体の芯まで温まったら、二人とも頭痛なんてすっかり忘れていた。
温泉の力、偉大かも。
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