星エリナのほろよいハイボール(連載105)

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星エリナのほろよいハイボール(連載105)

お金を使う
星エリナ


 
 小学生のころはお小遣い制なのかそうでないのか、で友だちと話し込んでいた。月に二千円もらえる友だちが羨ましいと思っていた小学校4年生。私はお小遣い制ではなかったので、使用用途を親に告げないとお金をもらえないのだ。カラオケに行く、という理由は通らないので、いつも何かと理由をつけて細々とお金を集めていたものだ。
 高校一年生からアルバイトをはじめ、自給800円でせっせとお金を稼ぎ始めた。高校一年生の夏休みはアルバイトを頑張って、必死に貯めたお金でパソコンを買った。今も使っている。その頃はパートの主婦の方々とはなかなか仲良くできなくて、店長にも嫌味を言われて、お金を稼ぐのは本当に様々な苦労があるのだな、と感じた。だからこそ、今もしようしているパソコンはかなり大切にしてきたのだ。
 あれからもう7年近く。一番最初にはじめたアルバイトは半年でやめ、その後もたくさんのアルバイトをしてきた。花屋の工場、テストの配送、コンビニ……。現在も飲食店でアルバイトをしている。自給は高校生のときより高くなった。パートの主婦の方とも仲良くなれたし、店長の嫌味もさらっと流せるようになった。シフトの月のお給料も安定してきた。特にひどくお金に不自由はしていない。そのせいか、お金の使い方が雑になってきた。
 大学生になって飲み会にお金がかかるし、見栄を張るためのランチにもお金をかけている。服だって、高校生までのテキトーな服ではいられない。服にもお金をかける。靴にも。美容室も。そうしてお金を稼いで散財する癖がついてきた。
 夏休みは稼ぎ時。いつもよりたくさん働いて、いつもよりお給料も増えた。私は嬉しくって嬉しくって、いままで我慢していたものを買ってしまおう、と決意。まずは服。どうしてもほしかったニットも帽子も買ってしまった。さらに、これまた高校一年生のときから使い続けていたウォークマンを買い換えようと決意。電池の消耗も激しいし、接触も悪いし。と思って新たなウォークマン、17000円を即決で買う。さらにさらに、温泉に行きたいと思っていたので、すぐに温泉旅行も予約した。
 夏休みに稼いだお金は約100000円。今月使ったお金を計算していくと、なんと約90000円。あら、あと10000円しか残ってないのね。お洋服もウォークマンも飲み会も、全部楽しくて満足していたけれど、なんとなく虚しくなってきた。高校生のころは一生懸命稼いでいたお金、大事に大事に使ってた。それが今は全然違う。前より楽しく働いて、お金を稼げていることは良いことだけど、その使い方は本当に雑になった。
 ある意味オトナになったのかもしれない。お金のありがたみを忘れていく。しみじみとパソコンを見ると少し寂しいような感じもした。

  

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