小林リズムの紙のむだづかい(連載498)


清水正ドストエフスキー論全集』第七巻。2014年7月31日刊行。D文学研究会発行・星雲社発売。A五判上製585頁。定価7000円+税



清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載498)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
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小林リズムの紙のむだづかい(連載498)

【夢見るフリーター生活を振り返る 4】

 


 私の受けたオーディションは大手出版社が主催していて「次世代のフラシップガールを発掘する」をテーマに、正統派ではない変わった女の子を募集していた。23歳でアイドルオーディションを受けることがどういうことかは、それなりに理解していたつもりだった。これはもう、なんとしてでも変化球で目立たなければならない……。私は無職になったというのに、求人サイトを見るでもなくひたすらアイドルになるためのキャラづくりを考えた。優雅に朝10時に起きて近くのコーヒーチェーン店へ行き、200円のアイスコーヒーを飲みながら、100円ショップで買ってきたぺらぺらの紙のノートに、キャラ設定を考えてボールペンで書き込む。
『カルシウムアイドル→通称:カルドル→にぼし担当。いつもにぼしを食べている。魚の帽子をかぶる』
 と、ここまで書いて気づいた。魚の帽子をかぶったアイドルは、もしかしたらすでにいるかもしれない。そう思ってグーグルで検索する。「魚 帽子 アイドル」に真っ先に引っかかったのは、ぎょぎょぎょー!のネタでおなじみのさかなクンだった。なんてことだろう。私はさかなクンのように魚に関する知識や専門性もないし、負けてしまう。いや、いっそのことさかなクンの妹分を目指すのも……。熟考した結果私はカルドルのメモ書きの上に大きく×印をつけた。次に考えたのは、エコドルだった。
『エコアイドル→通称:エコドル→キャッチコピーは“この地球を守りたい!”。エコバックを配り歩く』
 ……エコバックを配り歩く? いやいや、なんかポケットティッシュ配ってる人みたいだし。ていうか、キャッチコピーも白々しいし。そもそもエコドルってすでにいそう。そう思って調べたら、やっぱりすでにいた。エコアイドル。前例のない新たなアイドルになりきらなければ先がない私は、エコドルは諦めることにした。

 アイドル戦国時代とはいうけれど、本当に大変なのだ。ちょっとばかし可愛いだけじゃダメだし、底辺にいる場合は特に注目してもらうために面白いキャラをつくらなければならない。利用してもらうために変わったサービスを提供する会社と同じだ。季節ごとに変わっていくコンビニのお菓子とか、マズさが売りのラーメン屋とか。雑誌に載るようなお洒落なカフェになりきれない場合に変わり種のメニューで引き寄せるしかないように、可愛さで勝負できなければ、ゲテモノ枠で挑むしかないのだ。……と、私はすでにアイドルになったつもりで自分をどう売っていこうかと頭を悩ませていた。

 考え過ぎて本来の目的を見失っていたけれど、私がオーディションに応募する理由は「書く仕事」がほしいからだ。それならカルシウムだとかエコだとかに走らずに、文章路線で走ったほうがいいかもしれない。とはいえ、文章路線といっても本を出しているわけでもない。文章力があるわけでもない。でも、そんなことを言っていてもらちがあかない。胸もお金も恋人も定職もない、つまり何もない私は、自称しなきゃ何も持てないではないか。……そうだ、それだ! 私はボールペンをつかんでノートに走り書きした。
『胸なし、金なし、定職なし、恋人なし。会社を8日で辞めたエッセイストアイドル。腹黒い。』
 それは、これまで挙げた案のなかでもっとも現実よりだった。というか、“エッセイスト”という言葉以外は現実そのものだった。




小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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