小林リズムの紙のむだづかい(連載497)


清水正ドストエフスキー論全集』第七巻。2014年7月31日刊行。D文学研究会発行・星雲社発売。A五判上製585頁。定価7000円+税



清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載497)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
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小林リズムの紙のむだづかい(連載497)

【夢見るフリーター生活を振り返る 3】 


 私が会社を辞めたのは、入社してから8日後のこと。4月8日という、まだ桜が咲き乱れているような時期だったから、同じように新社会人としてデビューした友達は私の「辞めた」発言に度胆を抜かしていた。
「この間入社したばっかじゃん! なんで辞めんの!?」
 それは咎めるような口調なときもあったし、嘘でもつかれているんじゃないかという疑いの目線であることもあった。
「それがさ、ヤバい会社だったんだって。朝6時半から早朝講義があってさ。経営者も教祖っぽくて……」
 私が理由を並べ挙げていくと、たいてい険しい表情で呆れたような顔でこう言われた。
「たしかに朝6時半は早いけど、でも新入社員なんだししょうがないんじゃない? 教祖っていうけど、経営者なんてだいたいがカリスマ的な感じでしょ。そんなことしてたらどんな仕事したって続かないよ」
「……って、思うじゃん? でもね、新入社員を並べて“お前らを片っ端からヤリ捨てしたい”って経営者が言うわけよ。で、他の社員にもそれを強要するの。“お前らもこいつとヤリたいやろ? ヤリたいって言え”って。ありえなくない?」
 そんなふうにして私はいちいち勤めていたころの状況を説明しなければならず、それもかなり過激でお下品な話だったから、ドン引きされることも多かった。
「え……それ、ホント?」
「うん。結局、あたしも含めて同期全員辞めたんだよね。同期のうちのひとりが会社を訴えようとしたら、経営者側から口止め料として140万円もらってた」
 そこまで言って、はじめて信じてもらえる。大変だったね、運が悪かったね、と気の毒がってくれる人もいれば、「なにそれ、超ウケる〜」と爆笑してくれる人もいた。
 たしかに働いている期間は絶望的な気持ちだったけど、辞めてみればそれはもうギャグでしかなかった。もっとも、社員のひとりひとりが経営者に強要されて「僕たちも君たちとヤリたいと思っています」なんてひとりずつ言わされているシュールな光景を思い出すと、滑稽で笑えてくる。命令するほうも、従うほうも茶番だった。そんな発言を真顔で聞き流していた私だって「ここで何してるんだろう」と呆然としながら、経営者の話に頷いていた。異様なことをおかしいとは言えない空間にいて、そこから出て外側からまじまじと観察するとあまりにもバカげていて笑える。
「で、これからどうすんの? 転職活動してるの?」
「うーん、まだ考えてない……けど……」
「けど……?」
 黙り込んでいる私に、友達はせかすようにして聞いた。
「実は、アイドルオーディションに応募したんだよね」
 小さい声で告白する私に、友達は絶句していた。そりゃそうだ。23歳。同年齢の子たちが社会人デビューをして迷ったり焦ったりしながら働いているときに、さらりと会社を辞め、アイドルを目指そうというのである。正気なの!? と叫ばれてもおかしくない。だいたい私はアイドルっていうキャラじゃないし、キラキラした女子でもない。
「アイドルって……なんでまたそんな……」
「あたし、文章を書いて食べてきたいって思って。でも、大学の頃ちょこっと出版系にバイトしてただけで、全然実力ないじゃん? だから知名度と仕事がもらえるかなぁと」
「……まあ、リズムの人生だからね」
 文章を書いて食べたいのに、正当なコースを行く自信がないからとアイドルに応募するという、謎の状況に友達は「また夢見がちなリズムが出た」と思っていることがありありと浮かんでいた。私は昔から飽きっぽく、学生の頃もバイト先を転々としていることを友達は知っている。
「それでね、実はオーディションの二次審査通って、セミファイナリストの51人まで残ったの。公開オーディションだから、応援してね」
 そう言ってスマホでオーディション画面を見せると、友達は吹っ切れたように笑いだして応援すると言ってくれた。



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