星エリナのほろよいハイボール(連載93)

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星エリナのほろよいハイボール(連載93)

血を抜かれる
星エリナ

 
 いつからか、ホラーやグロテスクなものが苦手になった。小さい頃は全然平気で、むしろオバケ屋敷が大好きだった。母も兄も苦手でついてきてくれなかったから、一人で入っていったこともある。今考えるとありえない。たぶんかみなりが怖くなったころからだ。血を見ることが中学生くらいのときにすごく怖くなっていた。保健体育でちょっと血などグロテスクなビデオを見なきゃいけないときがあって、前のクラスで女子がひとり倒れてしまった。その話を聞いて私もさーっと血の気が引いていき、ビデオの途中で先生に肩をトントンされ途中退室したこともある。やんちゃな男子が鬼ごっこをして、教室に走って入ってきて、鬼が来る直前に教室のドアを閉めたらドアに激突。手をドアについた際にガラス部分を触り、腕がガラスを割ってドアに刺さった。おかげで血がダラダラ。結構脈に近い危ないところだったらしく、教室も廊下もボタボタと赤い跡が残ったこともあった。
 ちなみに、今こうして書いているなかでも手が震えるような、力が入らないような感覚です。
 そんな私が大学一年生の春に献血をした。理由は、血液型を知りたいから。ずっとわからなかったのだけど、親戚にAB型RHマイナスの方がいた、というのを聞き、もし大怪我をしたとき血液型がわからないと不安になった。あと、ちょうどたまたま大学に献血車がくると聞いたからだ。
 父はAB型。母はA型。兄もA型。やっぱり私もA型かAB型だろうなーと思っていた。A型にしては几帳面じゃないし丁寧じゃない。二重人格っぽいところがある、と言われていたので、きっとAB型だろうと思って血液検査を受けた。
「私、何型ですか?」
 聞くと看護婦さんは薬品に混ぜた私の血液を間近に見せてきた。
「ほら見てー。B型よー」
 見てもわからないし……。って、え、B型!?
 母はAO型だったのだ。二人の劣性を遺伝した私はなんとBO型だったのだ。血液を見せられたこととB型だった衝撃もあり、献血中はずっと空ろだった。
 そして先週また、血を抜かれた。結核の検査のために採血したのだ。問診票を書いて、結果の報告方法や万一陽性だった場合の治療方法などの説明を受けた。それから採血する部屋に行くと、急に緊張してしまった。椅子に座った途端、看護婦さんに「イヤな顔してるわねー」と笑われ、針が刺さる部分を見たくなかったので顔を逸らすと「目は瞑っちゃだめだからねー」と笑われた。
 採血後もなんだか指に力が入らない。特に身体的な不調ではないのだが、なんだかふらっとしてしまう。精神的不調は結構きつい。できればもう血は見ないで生きていきたい。手術とかそういうことを経験せずに死にたいと思った夏のある日。まだ採血の結果が来ていません。
  

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