小林リズムの紙のむだづかい(連載452)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載452)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
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小林リズムの紙のむだづかい(連載452)




 【パイナップルヘアのあの子】

 高校の友達から「リズムの本、読んだよ!」というメールをもらった。本などほとんど読まないという子だったから、素直に嬉しかった。高校を卒業したあと東京の美容専門学校に通っていた彼女とは、大学の頃にもよく遊んだ。悪意がなく、素直な子だから男の人に騙されることもよくあって、そのたびに泣いたり怒ったり傷ついたりと忙しい子だった。

 2年間の美容専門学校を卒業したあとは「やっぱり保育士になりたい」と宣言し、ガールズバーで働きながら学費を稼いでいた。その間に会ったときの彼女は、茶髪のストレートヘアにつけまつげをこんもり乗せ、シャドウも眉毛もメイクもりもり! といった感じに見事にギャル化していた。変わり果てた彼女をみても「ちょっと、なにギャルになってんのー」などと簡単に声をかけられたのは、彼女の持つ単純さゆえの親しみやすさと、やはり長野仕込みの野暮ったさを残したギャルさ加減だったからだろう。高校の修学旅行のバスで男子が歌っていた曲に涙してしまうところとか、ある日突然「やっちゃった!」と初体験の報告メールを送ってくるところとか、根が優しいギャルっぽい気質は昔からあった。

 夜の世界は彼女の肌に合っていたらしい。時給1200円という仕事柄からしたら安い価格でも楽しんで働き続けていた彼女はしかし、生活がうまく成り立たなくなって、二年ほど前に東京を去って実家に帰った。

 当たり前のように自然と会っていたから、これといって取り立てるようなこともないと思ったけれど、長く会わなくなって振り返ってみれば彼女との思い出はあふれるように出てきた。たとえば、高校の頃に私が親と喧嘩をして「今日家に帰りたくないんの!だから泊まらせて!」と半ば本気で頼んだときも「えー」と笑いながら、しかし何も聞かずに快諾してくれたし、その日一緒に温泉に入って互いの小さな胸を晒しながら恋やら噂話やらを話したこともちゃんと記憶にある。

 悩みがあっても彼女とカラオケで「タッチを色っぽく歌おう!」とふざけたり、大塚愛さくらんぼをエンドレスで歌い続けたりしているうちにすぐに忘れたし、私の行動が原因で喧嘩になったときも「ごめん」と電話であやまったらすぐに許してくれた。人生初の合コンも彼女と参加した。田舎ヤンキーな彼女はストパーをかけたロングヘアを頭のてっぺんでひとつにしばるバカみたいなパイナップルヘアで登場した彼女を見たときは度胆を抜かれた。絶対に合コン受けしない頭だったから笑った。そういうことを本気でいいと信じて、けれどいつもちょっとズレてしまう彼女のことを人間としてとても愛せたし、一緒にいてラクで、気を許せる数少ない友達のひとりだった。

 長野県に戻ったあと彼女は結婚した。「まだ親しか知らないんだけど、実は結婚したんだー」という報告があまりにも突然だったからびっくりした。相手はコンビニのアルバイトで知り合ったという一回り以上年上の人らしい。ほぼ100%子どもがデキたのだろうと思って「おめでたなの!?」と聞いたら違った。私はデキちゃっていない婚だったことに逆にびっくりした。結婚はホワイトデーの日に勢いで決めたらしく、結婚して早々お金に困っていると愚痴をもらし、簡単に結婚なんてするもんじゃないと後悔する、そういうところも彼女らしいなと感心した。

 「副業したいな」と言い出すので何をしたいのかというと「水商売!」とノリよい返事が返ってくる。旦那様に許してもらえるの、と笑って聞いたら「許してもらえなくてもやるの♡」とうきうきした様子で話す、そういうところも全然変わっていない。刹那的で突発的な出来事にも乗り、情が熱く、人からの要求を断れず、あとで困って苦労したり傷ついたり騒いだりする、田舎のヤンキーガール。あまりにも穢れない、無垢な彼女のことを見ているとほっとする。
  

 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

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