小林リズムの紙のむだづかい(連載445)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載445)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
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小林リズムの紙のむだづかい(連載445)




【アリノママのOBASAN】


 世間がレリゴーレリゴーと繰り返し歌っているから、映画もみていないのに私の頭のなかは『アナと雪の女王』の曲で埋め尽くされ、終始流れ続けている。といっても「ありのーままのー姿を見せるのよー♪」というサビフレーズであるほんの一部分しか知らないから、何度も、何度も、同じ部分ばかりをひたすらリピートしているだけだ。

 「ありのまま」についてあらゆる人が自分の見解を発表しているけれど、いったい何なんだろうね、アリノママって。そんなことを考えながら、お風呂上りにアリノママの裸の状態でアナの曲を繰り返し口ずさんでいた。気付くと肩らへんから身体が冷えはじめて、乾かしていない髪からは冷たくなった水が滴り落ちた。なんだか虚しくなってパジャマを着て髪を乾かしていたら、くしゃみが一度だけ出た。アリノママなんてくそくらえ。

 いつものコーヒーチェーン店に入ったら、5人組の中年のおばさんたちが席を占領して、あーでもないこーでもないと話していた。うるさいなと思ってイヤフォンを耳にねじこんでパソコンで作業をしていたけど、ひとりのおばさんがやたらと大きな声でしゃべるから、諦めてイヤフォンをはずしてぼーっとすることにした。おばさんの主張が耳にストレートに直撃してくる。
「ねえ、違う?」
「わたし、間違ってる?」
「わたしはそういうふうにはなりたくないの」
 大きな声で言い聞かせるそのアピールは、あまりにもアリノママだった。そしてそんなアリノママの自分を周囲に押し付けていた。裏返せばこうだ。
「わたし、間違ってないでしょう?」
「わたし、間違ったこと言ってないよね?」
「あなたはそれでいいわけ?」
 おばさんは正論かもしれない。いいと思えないのは、おばさんが苦しそうに見えたからかもしれない。ビバ・自分。こんな私を見て、私を知って、私をわかって、私、私、私……。きっと、おばさんは本当はこう言いたかったのだ。
「ありのままのわたしを理解して、受け入れて!」

 おばさん、間違ってるよ。おばさんが誰よりも認めてもらわなきゃいけないのは、友達でも家族でもなくて、おばさん自身なんだと思った。おばさんはたぶん、アリノママの自分を受け入れられていない。自分で埋めなければならない心の隙間を誰かに埋めてもらおうと躍起になっても、周りに迷惑をかけて苦しくなるだけだ。
 アリノママの姿を見せるより前に、アリノママの自分を見つめられたら……いいんだけど、それが結構難しいんだよね。

 ところで「let it go」は直訳すると「ありのまま」じゃなくて「心配するのはやめよう・悩まずにいこう・忘れよう」っていう意味なんだって。じゃあなんで「アリノママ」って訳されたのかというと、レリゴー(let it go)の口の動きが「ありのー」「ままのー」の口の動きまんま、だからという説。「アリノママ」っていう言葉の選択は、日本人ならではかもしれないね。


   

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