小林リズムの紙のむだづかい(連載440)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載440)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
小林リズムの紙のむだづかい(連載440)




【モスキートーンの思い出】



「ねえ、モスキートーンって知ってる?」
 お昼休みに机をくっつけて、友達とお弁当を食べているときだった。
「なにそれ? 聞いたことなーい」
 まだ高校生だった私たちのオカズといえば、テレビの話と流行りものの話、それからクラスの子たちの恋愛の噂話がメジャー。まだスマホなんてなかったから、みんなで色とりどりのガラケーをいじりながら、最新の着メロについて話していた。そんなときにモスキートーンについて聞かれたのだ。
「なんかね、子どもにしか聞こえな音なんだって。これ、聞こえる?」
 そう言って友達が携帯を耳に近づけてきた。キーンという耳鳴りのような、超音波のような高音が聞こえた。脳みそに細いテグスの糸を巻き付けられるような音だった。決して心地良くはないその音に、思わず眉をひそめると、友達は笑って説明した。
「なんか、イギリスだかどっかの国で発明された音らしいよ。若者がお店の前にたむろしたりするじゃん? それを防ぐために、若い人にしか聞こえない超音波みたいな不快な音をつくったんだって。お店の前にかけとくと、イヤな音だから若者が集まったりしなくなるらしい」
 へえ、と感心した。たしかにこんな音がずっと聞こえる場所にはいたくない。それに、子どもにしか聞こえない音というのはなんとなく良い気分だった。子どもではないけれど、大人とも言い切れない、16歳という絶妙な年齢に「子ども限定」と言われるものへのちょっとしたお得感。私は世間からみた自分たちの女子高生というブランドの価値を十分に理解していたし、またそれがただ持ち腐れていくだけの退屈な生活にうんざりしてもいた。

 モスキートーンの存在がをすっかり気に入った私は、その日から「子どもにしか聞こえない」ということの特権を利用すべく、携帯の着信音に設定した。これなら授業中になっても先生には気付かれない。運が避ければ授業中にもこっそりとメールをチェックできる。大嫌いな数学の授業のなか、メールの着信音を聞くたびに心のなかでぱちぱちと音がはねるような嬉しさがあった。ささやかで、小さな楽しみ。大人には聞こえないものの、子どもには聞こえるから他の生徒たちはその着信音によく気づいた。後ろの席の男の子はしょっちゅう「小林さん、なんかヘンな音しない? 耳がキーンってするんだけど」と不思議そうに聞いてくるのも面白かった。「これね、モスキートーンなの。知ってる? 子どもにしか聞こえないんだってよ。すごくない?」「マジで? すげー嫌な音すんだけど」「だよね。でもこれ先生に聞こえないんだって」「すげーな」そう言って先生の顔を確認する。小さないたずらの共犯者みたいだった。



   

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