小林リズムの紙のむだづかい(連載424)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載424)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
小林リズムの紙のむだづかい(連載424)



【ちゃちなキラキラだけど】



 セボンスターというおまけ付きの子どものお菓子が、いま大人になった女性の間で人気らしい。ハートやリボンをモチーフにしてできたプラスチックのネックレスやコンパクトミラーが、かつて少女だった彼女たちの心をくすぐるそうだ。子どもの頃はほしくてもなかなか親に買ってもらえなかったものも、大人になれば自分のほしい形のアクセサリーが手に入るまで買い続けることができる。買い集めてコレクションにし、ブログで紹介している人も数多く見かけた。コンパクトミラーにおいては、ほぼ完売状態で入手困難のようだ。
 プラスチック素材の軽くてちゃちなアクセサリーは、大人になってから見れば見るからに安っぽいものだったとわかる。もちろん、それを身に着けて外出しようとは思わない。けれど、セボンスターは、少女だったときに感じた心がわくわくするような夢いっぱいの気持ちを、大人にしてから手に入れるのが難しいその気持ちを、みるみるうちに呼び覚ませてくれるのだ。金色やピンク色でごてごてにあしらわれた、わかりやすくお姫様っぽいそのアクセサリーを眺めているだけで幸せな気持ちになれる。ちゃちなアクセサリーが、ときめきやドキドキやキラキラをぎゅっと詰め込んだ夢の国へと運んでくれるのだ。誰と比べることもなく、自分は天下無敵のお姫様で、可愛くてキラキラして、世界で一番になりえた子どもの頃のマボロシ

 ネットで見ているうちにだんだんとほしくなってしまって、二十年近くぶりにセボンスターを手に入れた。ポシェットタイプのものをひとつと、ネックレスタイプのものをふたつ。チープ可愛いアクセサリーは、もろくて、軽くて、チェーンが切れやすくて、とても嘘くさくって、可愛くてたまらなかった。幼いころに、キャンディーやキャラメルの包み紙を大事にとっておいて缶ケースに入れていたこととか、香りつきの消しゴムを宝物箱にしまっていたこと、ガチャポンで当てたお気に入りのフィギュアや、旅行土産で買って着たありきたりなキーホルダーを思い出して、胸がくっとなった。

 たとえば、小学校の頃に母が学校へ行く前に首に巻いてくれたマフラーや帽子は、学校に着くまでぜったいに触らないで、母が巻いたままの状態でキープしないと申し訳ないと思っていた。途中でマフラーがほどけてしまったり帽子が脱げてしまったりすると、母を裏切ったように気持ちになった。また、母が膝に貼ってくれた絆創膏は、学校では剥がしちゃいけないと思っていた。学校で絆創膏が剥がれてしまうと、母が悲しむと思っていたのだ。そんな今から考えるとわけのわからない、けれど子どもからしたらとてつもなく重要な変なこだわり。親からもらったものやしてもらうことへの絶対的な価値。そういう一生懸命に大切に扱って気に掛ける愛情のようなものを、ずいぶんと長く忘れていた。変な形の石も、海で拾った貝殻も、キャラクターが描かれたメモ帳も。

 正直、バカにされるかなと思った。けれど23歳にもなっておまけ付きの子どものお菓子を買って嬉々としている私に、祖母も母も「そんなものの何がいいの?」と言わなかったのは、彼女たちにも少女時代の大切にしていた宝物の思い出があったからかもしれない。これから先に子どもができたり、子どもと接する機会があったときに、私は少女の頃の気持ちをすっかり忘れて「そんな安っぽいアクセサリーより、本物のダイヤのほうがキラキラしてるんだよ」なんて言葉を教育と勘違いして教える大人になりかけていた。人が大事にしているものを笑ったり見下したり、ジャッジしたり、そうだ、私はそんなことしたくなかった。
 



 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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