星エリナのほろよいハイボール(連載78)

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星エリナのほろよいハイボール(連載78)


助けを求める
星エリナ
 
モンスターペアレンツとか自殺とか、最近は教育機関も大変のようだ。悠仁様も不登校の原因はいじめだとか。先生という立場は、私たちが小学生のころは絶対安定の勝ち組ルートだった。それが、現在は物凄く気苦労の絶えない、しかも責任がかなり重い辛い職業になってきているように感じる。
以前のエッセイで書いたように、私はいじめをある意味肯定している。全肯定ではないので注意してほしい。例えば蜂を食べろなんてものはいじめでも何でもない。肯定、というかいじめはあると認めなければいけないと思っている。だって、いじめる側にもいじめられる側にもなったことがない子どもなんているのだろうか。差別に対する教養が少ない子どもたちにとって、ちょっとした違いだけで「あの子、変」と思うことはざらにある。それが集まり、大きくなっていくと、いじめになっていく。
大切なのはそのいじめの行き着く先だと思う。もちろん親の教育というものも必要だと思うが、私は重要なのは逃げ道だと思う。いじめている側は正直、放っておいた方がいい。自分で気付いた方が学べるからだ。「あの子が変でも、別にいいのか」と気付き、少しやり過ぎたと自分で思えばいい。いじめはそれを学ぶためにあるものだと思っている。
しかし、いじめられている側は放っておくわけにもいかない。見て見ぬふりが許されるのは生徒だけ。自殺や不登校にならないように逃げ場が用意されている。私の中学にはしっかりした逃げ場が用意されていた。担任の先生はもちろん、相談室も保健室も重要な逃げ場だった。
それが、現在はどうなんだろう。小中学校の現状をよく知らないが、しっかりした逃げ場が用意されているのだろうか。
○○(個人名)にいじめられている。助けて。
この書き込みを新宿にある女子トイレの個室の扉内側で見つけた。私は止まった。こんなところで、助けを求めているのか。この書き込みが事実なのか、ただのいたずらなのかはわからない。
もしかしたらこの子にとっての逃げ場はこんな狭いトイレの個室なのかと思うと、辛くなった。何もできない。二十歳を越えた私には何の力も身に付いてはいないようだ。
 

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