小林リズムの紙のむだづかい(連載389)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載389)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru

日藝・江古田校舎購買部に平積みされています。

江古田購買部の小泊さん。お世話になっています。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
小林リズムの紙のむだづかい

【青春は喉ごしナマ】


久しぶりに行った居酒屋で、隣の学生集団がかなり盛り上がっていた。
「いっき!いっき!」
一気飲みの煽りのなかで、すでに顔を赤くして酔っ払っている男の子が、立ち上がってビールのジョッキをぐいっと傾ける。飲み終えると同時に「うぇ〜い!」と叫んで周囲の人たちとハイタッチ。そして隣にいるショートカットの女の子の空になったジョッキを指さして、
「なーんで持ってるの?なーんで持ってるの?飲み足りないから持ってるの!」
とコールを続け、長いテーブルの真ん中にあったビールの入ったピッチャーを渡す。え!これ飲ませるの?ジョッキじゃなくて、ピッチャーごとお酒を飲ませるの?シンジランナイ…。と衝撃を受けたのだけど、女の子は「もうー」とか言いながらピッチャーを両手で受け取って、コールと合わせてごくごく飲んでいた。最後のほうは飲み切れなかったらしく、わざとこぼして量を減らしているようだった。溢れて流れたビールがワンピースを濡らし、でもそんなことちっとも気にしていないようだった。飲み終えてから両手をかざして、また「うぇ〜い!」。その繰り返し。とにかく飲む飲む。会話というものはなくて、あるのはノリで発せられる叫びと軽はずみな言葉だけ。

何がそんなに面白いのか。たぶん本人たちもよくわかっていないと思う。でもこれは青春を楽しんでいる大学生として周囲に見せつける、重要な儀式なのだ。時間だけは山ほどあるお手軽な自由を手にした生活のなかで、自分は青春を謳歌しているのだと勘違いさせるために必要な行為なのだ。私もそうだった。そのくだらなくてバカでどうしようもない期間がどうしても必要なときがあった。自由と時間の使い方がわからないからそうするしかなかったし、それ以外の方法で気持ちを満たす手立てを知らなかった。終わってみたらみたで翌朝は後悔しか残らないし、毎度絶望的な空虚感に襲われた。

かといって、横目で青春楽しんじゃってる自分系の人たちを見て指をしゃぶっているのも嫌だった。コール系の飲み会には2回参加して無理だと思って諦めたけど、もし参加していなかったら私はやっぱり彼らを心のどこかでいいなと思っていたかもしれない。楽しそうでいいなとか、繋がっている感じがいいなとか。全部見せかけだってバカにしながらも。安っぽい関係性の輪のなかで彼らを見下しながら、その体験ができる自分、仲間内にも入り込める自分というものにこだわり続けてきた時期があった。

あのとき、ビールが美味しいと感じたことは一度だってなかったし、いつも胃液みたいな味がするって思ってた。苦くてびりびりして、でもこれを喉ごしで味わえるようにならないといけないと思ってた。この場にいる自分以外の人が、一気コールをBGMに飲んでいるだけで楽しめるのだという軽蔑と嫉妬。それに気づかないようにするために注入するアルコール。おかげで私の記憶はいつも早送りだった。



 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。