小林リズムの紙のむだづかい(連載334)

小林リズムの紙のむだづかい(連載334)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい

【サイゼリラー】


 


サイゼリアは安いから好き。ミラノ風ドリアは290円だし、ドリンクバーはセットでなければ270円。私はだいたいドリンクバー、もしくはミラノ風ドリアを頼んで、一人用のソファー席で長居してしまう。

この間サイゼリアに行ったら、保険の勧誘をしているお兄さんと、勧誘をされているおばあさんがいた。騒々しい店内で、熱心に説明しているスーツのお兄さんは浮いていたから目立った。向かい合った席に座っているおばあさんは、ボロい変な模様の服を着ていて、猫背だった。保険のお兄さんのスーツはくたくたになっていて、靴も色あせていた。おばあさんはお兄さんの話にほとんど質問も頷きもしていなかった。お兄さんだけが一方的に「月々の支払い」と「保険のメリット」について話していた。

途中で手応えを感じないと思ったのか、お兄さんがおばあさんにいくつか質問を投げかけていた。おばあさんは曖昧に頷くだけだった。けれど「いかがですか?」と話をふるお兄さんに対して、おばあさんが「…ちょっと、考えさせて下さい」と言ったのを境に、お兄さんの態度がそっけなくなった。
頼んでいたのはふたりとも単品のドリンクバーのようだった。270円×2、だからふたりで540円。この場合の会計は別々に支払うんだろうか…保険が成立しなくても…?と、部外者の私は勝手に気にかかっていた。

お兄さんの仕事をする一生懸命さは伝わってきたし、おばあさんの迷う気持ちもわかる。おばあさんが心を開いてくれなくて悔しいお兄さんの気持ちもわかるし、「考えさせて」と頼んだときからそっけなくなっていくお兄さんに不信感を持つおばあさんの心情もわかる。


サイゼリアに行くと、たいてい1〜2人の女性は、ひとりで白ワインのデキャンタを頼んでいる。小エビのサラダをフォークでつつきながら白ワインを飲んでいたり、スマホをおかずにしながら白ワインを飲んでいたりする。はじめのうちはゆるく飲んでいる彼女たちは、次第に机に突っ伏するような体勢に変化していく。待ち合わせでもしているのかと思っていたけれど、彼女たちの前に誰か人が現れたことは見たことがない。何を考えているのか気になる。たいていひとりで飲んでひとりで去っていく。

サイゼリアの、安くて、ちょっとままならない人生の臭いがただよっているところが、なんとなく好き。




 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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