小林リズムの紙のむだづかい(連載302)

小林リズムの紙のむだづかい(連載302)
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Ｄ文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp)　で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正・ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。Ｄ文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価（送料無料）でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁　定価1200円＋税

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小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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小林リズムの紙のむだづかい(連載302)
小林リズム
　　　【神よ、オアシスをどうか…】

　　

12月末日　○曜日

　生まれてから気づいたときにはもう、乾燥肌という宿命を背負わされていた。常に肌がパサついている。けれどそれが私のノーマルなポジションであったため、肌がパサつくのは人類の定め！むしろ当たり前くらいに思っていた。ところが大学生のときのバイト先でメイクをしてもらったとき、メイクさんが驚きを隠せない様子でこう言ったのだ。
「肌、すごく乾燥してるね。乳液がありえないほど吸収していって、塗ってもキリがない…」
…え？私の心に疑念が芽生えた瞬間であった。これがフツウなんじゃないの？昨日、顔にパックしたんだけど…それでも潤いが足りないって…そんな、馬鹿な…。ぐらんぐらんと震度６くらいで動揺しながらも、私、耐震してるんで大丈夫でっす！とばかりに平静を装って返す。
「…あ〜…、久しぶりに乳液つけました。私、乳液嫌いなんですよ〜。肌がベトベトしちゃうし〜」
するとすかさずメイクさんが
「だよね。この乾燥だったら…パックとかしたほうがいいよ。化粧水のあとにはちゃんと乳液もしないとダメ。乳液でフタをしないと成分が逃げて行っちゃうから。今は若いからいいけど年をとるごとに…etc」
と懇々と説明を始めたので私はさらに「はじめて知りました〜」と相槌を打つしかなかった。ちゃんと化粧水もつけてるし乳液もしているしパックもしたのだけど…！と言葉にならない叫びが溢れ、心だけは悲しい雨が降ってじめじめとした。

　それからというもの、私はこれ以上肌の油分を逃したくないと、クレンジングオイルの代わりにオリーブオイルを使ってメイクオフしている。そのため、うちにはクレンジングオイルが存在しない。友達が泊まりにくるたびに、顔にオリーブオイルをぬったくり、ティッシュで拭うという一連の儀式を紹介しては勧める。はじめは「…え!クレンジングオイルないの…？」と困った表情を浮かべる友人も、私の説明によって次第にオリーブオイルの魅力にとりつかれ（というか諦め？）、食用のエキストラバージンオイルを手にとり顔にぬらぬらと塗る。顔がギットギトに光った状態になったらティッシュでオフし終えると「うわ、本当にメイク落ちるんだね…」と若干引き気味の感想をもらう。

　冬は乾燥がなおひどい。口周りなんて動物園にいるサイの肌なんじゃないかというくらいに水気がない。私は必死で潤いを確保しようと乳液を塗りこんだあとにマスクをして寝る。けれど息苦しくなってしまうのか、朝になると必ずマスクがはずれてしまっているのだ。どうやら神様は私に心にも肌にも潤いを与えてくれない気でいるらしい。

　
　小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか？」
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