小林リズムの紙のむだづかい(連載284)

小林リズムの紙のむだづかい(連載284)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/

小林リズムの紙のむだづかい(連載284)
小林リズム
   【失ったものを取り返す】

  

  待ち合わせのベローチェに姿を現した母が、真っピンクの派手なニットをきていたからびっくりした。似合うとか似合わないというより、単純に「お母さん…これはいったい…」とただただ茫然としたのだ。御年4○歳。私が今の母と同じくらいの年齢になったら、シンプルなニットやシャツを選び、大人の余裕を見せたい年頃…。けれど、母は違ったのだ。
「どうしたの…その服…?」
と私が聞くと、母はけろっとした様子で、可愛いでしょ?と聞いてくる。さらに、これも買っちゃたのよ〜、と荷物のキャリーケースをその場で開けてごそごそと探り、デニムのロングスカートを引っ張り出して「これ、いいでしょ。どうどう?」と見せつけてくる。スカートには、なにやらひらひらしたフリルのようなものがついていて、小学生のときに着ていた子どもブランドの名前が頭をよぎる。母はいったい、どうしてしまったのだろう…。

 小さい頃からぶりっこ路線だった私は、やたらとお姫様ちっくなワンピースやスカートを着せられていた。私自身そういうものが好きだったし、ハート、ラブリー、キラキラ、ふわふわ、という単語の似合う女の子になりたい気持ちもあった。選ぶ文具はなんでもピンク。リボンやレースも好んで選び、「お姫様みたーい」であればあるほど満足だった。けれど、あまりにも長い期間ピンクやメルヘングッズを摂取していたがために、吐きそうなほどにお腹に溜まり、今ではもうあんなに当たり前だったパステルピンクすら遠ざけている。選ぶのは青やショッキングピンク、黒や白。はっきりした色で、わかりやすいものが好きだ。女の子という要素を、少しずつ薄めていきたい気持ちもある。

 母の場合はその逆で、幼い頃に祖母がつくった茶色のマント付きのコート(!)を着せられていた反動で、今になってぶりっこが開花されたようだ。失ったもの、やりたかったことを取り戻すかのようにして、吸収し、飲み込んでいくアイテムたち。時が遅すぎることはない。着たいものを着ればいい。本人が満足し、納得するのなら文句は言わないよ…。そう思いながら、母のスパンコールのついたニットをぼんやりと見守る。とはいえ、ああ…でも…そのうち金髪に縦ロールにし始めたらどうしよう…、といううっすらとした不安も拭えないのだった。


 
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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