小林リズムの紙のむだづかい(連載279)

小林リズムの紙のむだづかい(連載279)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D

ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載279)
小林リズム
    【3通の手紙】  

 

 
 昔に書いた痛い日記は、ほとんど実家に送ってある。友達からもらった手紙やストラップなどのお土産は、一人暮らしの1Rには置く場所がなく実家に送り付けた。今わたしの手元に残っている手紙は、3通だけだ。1通めは、小学校の頃からの付き合いである親友から10年目にもらった手紙。ピンクのチェックの封筒に2枚の便箋。自分の筆跡よりも見覚えのある親友の文字が小さく丁寧に並んでいる。読むとほっとして元気が出る。

 2通目は、大学生の頃に母からもらった手紙。これはかなり久しぶりに読み返したのだけれど、わたしが就活で迷っていた頃の内容で、読んでいて微笑ましかった。あんなに悩む必要なかったのに…、と、昔の自分に言いたい。手紙のなかでは大手を受けずに編集プロダクションに入ろうと決意していた…のに、その後就職への不安から内定の決まった広告代理店に入社したせいで、今のような状況になったのだ。中途半端な覚悟で違うい道へ流れようとしても、行きつく先はもとに戻るのだなぁとつくづく思う。母の字で書き残されたよしもとばななの一文は、去年より今のわたしのほうがよっぽど胸に響く。

『将来の事を考えて、取り越し苦労をしないでいれば、その時にはその時のチャンスが無駄なくやってくるに決まっているのだ。』
将来のことは考える。でも不安からくる余計な取り越し苦労はしない。そしてチャンスはつかむ。今も揺るぎない三原則だ。

 3通目の手紙は、前の2通とは違い別のポーチにしまってある。ポーチのファスナーを開けると、生理用品…と一緒になって、昔もらったラブレターが入っている。わたしはすっかりこの手紙の存在を忘れていたので、生理用品が顔を出したのと同じタイミングでラブレターがお目見えしたときはびっくりした。シンプルな水色の封筒と、写真が数枚。あとはプリクラ。ちらっとだけ写真を見て、手紙は開けない。でも内容は少し覚えている。もう必要ないのに捨てられない。記憶は過去を美化するけれど、私もきっと例外じゃない。過去は過去として別枠で綺麗に存在する。だからほんの少しでも大人になった目線で昔の自分を見ると咎めたくなる。人を傷つけるという意識さえ持っていなかったことに愕然としつつ、今もそういうところあるようなぁと反省しつつ。

 最初の2通の手紙は、これから先もずっと手元にあると思う。忘れた頃に読み返しながら、その時々で勇気をチャージし、前に進む。3通目の手紙は…どうしようか。自己愛じゃなくて、ちゃんと人を愛することのできる人間になったときに捨てよう。今だって自分のことでいっぱいいっぱいだし、そんな日がくるとはまだ思えないのだけれど。

    
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。