小林リズムの紙のむだづかい(連載278)

小林リズムの紙のむだづかい(連載278)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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小林リズムの紙のむだづかい(連載278)
小林リズム
   【気づいたら、女コンプレックスを抱えてた】  

 

 
 夕飯は、野菜炒めを作ることにした。けれどやっぱり、面倒くさい。キャベツと春菊を手でちぎり、ウィンナーとピーマンをハサミで切るという荒業に出た。キッチンが狭く、まな板を置くスペースもままならないから、包丁で切るという作業が厄介なのだ。「ま、いっか〜」とそんな自分を許した。作っていることも、料理をしていることも、ちょっと嬉しかった。

 適当にフライパンに放り込んだ野菜を遠目で眺めていたら、心の内側がわなわなと震えているような感覚になった。ひとりで小さなキッチンの前に立って、自分のために自分らしく料理をすることを。私はおかしいくらいに喜んでいた。なんでだろう…?と考えて考えて、ふと気づいた。私は本当はずっと、こうやって「ちゃんと」したかったのだ。嘘みたいだけれど。

 ずっと自分が女であることにコンプレックスを持っていた。掃除も苦手だし、料理もできないし、気も利かない。極め付けに上から目線で素直じゃない性格もよろしくない。自分が人間として、特に女性として欠陥があることはわかっていた。けれど「そんなアリノママの私を受け入れてくれる人はいる!それこそが愛!」と変に歪んだ発想から、女性らしくすることを避けて通っていたのだ。とはいえ、女性として重度のコンプレックスを抱えて過ごすのは心苦しく、見える部分だけには手をやっていた。メイクや服は人並みに整え、女性でいる。外見と内面のギャップがますます広がっていく。特に知り合って間もない人には良い人だと勘違いされる。自分でも自分のことがよくわからなかったし、人と接して苦しくなることが多い理由もわからなかった。きっといつでも人を騙しているような感覚があったのだと思う。「外見では女性っぽく見えるかもしれないけど、中身は違うからすぐダメになる」その強迫観念みたいなものが積りに積もって逃げ場がなくなり、自分はダメな人です!と初めに言ってしまうことで、罪悪感から逃れようとしていた。
 バランスが悪いのだ。勝気な反面、自信がない。偉そうなことを言う割に、きちんとしたベースもない。不安定でどこに立っているのかわからないまま、ふらふらしてここまできた。
 そうか、私が恋愛できないのは自分に原因があったのだ。「アリノママの私を受け入れてよ!」と言いつつ自分から開こうとはしない。それどころか気に入ってくれる人のことも認められない。自分のことを気に入らないから、そんな自分を良いという人のことも受け入れることができなかった。

 …と。あまりにも勢いよく自分の感情が溢れてきたから、びっくりしてして、気付いたらキャベツが焦げていた。

    
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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