小林リズムの紙のむだづかい(連載270)

小林リズムの紙のむだづかい(連載270)
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


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小林リズムの紙のむだづかい(連載270)
小林リズム
 【東京にしがみつけ!】

  

 
  わたしが上京をしたのは…、東京の大学を選んだのは「ここ(長野県)で過ごしている将来の自分を想像できない」という本当に単純なことだった。それでいて確信にも近かった。大学に受かろうが受かるまいが、わたしはこの先東京にいるし、就職先も東京だ。もはやそれは断定だった。大阪でも名古屋でもない、東京。選択肢はそれしかなかったのだ。大学受験を頑張ったのは大学に入学したかったからで、「東京に行ける」ということが理由ではなかった。もし入試に失敗したとしても、東京には行っていると思った。東京で過ごすことに理由なんていらないし、必要なかった。なんの証拠もなしに、お金のことなど考えもせずに、自然現象みたいに、当たり前のことだと思っていた。今思うと馬鹿だと思う。

 それまでわたしはうまくいかないことのあらゆる理由を、「東京じゃないから」にして生きていた気がする。楽しくないことも、うまくいかないことも、退屈なことも、何かが決定的にズレていることも、自分が欠陥人間であることも、すべてを「東京じゃないから」を理由にしていた。東京だったらわたしのすべてを理解してもらえるし、受け入れてくれるに違いないと信じていた。
 だからといって長野県が嫌いだったわけではなく、むしろその逆で自然も環境も友達も大好きだった。わたしの性格の悪さはここからつくられたわけではないと断言してしまえるくらいに、恵まれている場所だったと思う。けれど、どうやって生きても浮き出てしまう何かが嫌だった。うまく噛み合わないのに受け入れてくれる長野県に、逆に疎外されているような気もした。
 東京に来たとき、なんて自由なんだろうと思った。やっぱり東京は違う。東京はわたしがいてもいい場所なのだ…。けれどそれは思い込みだったとすぐに気づいた。東京は単にわたしに無関心であるだけ、埋もれる存在であるだけで、理解をしているのでも受け入れてくれているわけでもなかった。何をしてくれるわけでもない、無職にだってなるし、家賃だって払わないといけないし。何もしてくれないのよ、ここは。

 それでも私は今もこの場所にしがみついている。東京はわたしのことなどどうでもいいから、実家へ帰ると言ったって止めたりしないだろう。騒いでくれる人だってきっといないし、おかまいなしに毎日動いていく。帰るんだ、ふーん、お好きなようにどうぞ、というスタンス。来る者拒まず、去る者追わず。東京くんは非常にクールなのだ。そのおかげで、この場所にいる理由だって必要ない。「会社があるから…」とか「家族がいるから…」という理由を探さなくたって、無条件でいていい。すべてを無くしてもここにいる理由が必要ないというのは、すごく強いことだと思う。

   
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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