小林リズムの紙のむだづかい(連載266)

小林リズムの紙のむだづかい(連載266)
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小林リズムの紙のむだづかい(連載266)
小林リズム
 【なんてことはない夫婦だけれども】

  

 「そういえばさぁ…、お母さんがこの間、誕生日にプレゼントくれたんだよ」
電話をしていたら、思い出したように父がそう報告してきた。なんとなく嬉しそうな声だった。
「え!よかったじゃん、プレゼントはなんだったの?」
とわたしが聞くと
「お財布。なんか茶色いやつだったよ」
と、やっぱり嬉しそうな声で説明した。聞いたところによると、今までのお財布はもう10年近く同じものを使っていたらしい…。
「そういえば、お母さんの誕生日って先月だったけど、何かプレゼントした?」
どうせ気の利かない父のことだから、そんなことはまるでしないだろうとわかりきっていたのだけれど、一応聞いてみた。…案の定、していなかった。
 以前、父と“恋人にあげるプレゼント”について話していたとき、父がこれまで女性に渡したことのあるプレゼントは、ほとんど食べ物系のものだったという。おそらく自分の選ぶもののセンスに自信が持てず、気に入ってもらえるかもわからないので無難に食べ物を選んだのだと思う。父にはそういうところがある。そういえば、わたしが小学生くらいの頃、父が「これ、すごく昔に女の子にあげようと思ったんだけど…」と言ってわたしに金のネックレス(…と言ってもメッキね)をくれたことがあった。エジプト風のデザインで、鳥のようなものが描かれていて、小さな赤い石(というかビーズ?)がくっついている。別れたからかなのか、自信がなかったからなのかはわからない。けれど女の子に渡されることのなかったそのネックレスは、何の因果かわたしのもとに巡ってきたのだった。娘としては複雑な気持ちではあるのだけれど、青年だったころの純真な父を思い浮かべるとなんとなく捨てられず、今もわたしの宝石箱にしまってある。

「たまにはお母さんに何かプレゼントくらいしなよ」
とわたしが叱咤すると、父が困ったようなだらしないような、なんとも言えない声で「銀婚式なんだって…」と言いだした。銀婚式…。結婚して25年という月日が流れたという記念日。
「お母さんが“プレゼントより、銀婚式のときに一緒に旅行行こう”って言うからさぁ…」
情けない父の声が電話口に聞こえてくる。娘のわたしが言うのもなんだけれど、微笑ましかった。父のかっこ悪いところを十分に理解している母が、プレゼントではなく旅行をお願いするという可愛らしい提案も、嫌々な感じを装いながらも娘に報告してしまう父の子どもっぽさも。

 …そんなことを考えていたら、この間母から「りっちゃん、何を勘違いしているのかわからないけど、うちはできちゃった婚じゃないんだからね?」と釘を刺された。え?だって、結婚記念日とわたしの誕生日にちょっとズレがあるじゃん…と反論すると「…りっちゃん、妊娠の数え方知らないでしょう?今度ネットで検索してみなよ」と言われてしまった。どうでもいいけど、とりあえずウチって授かり婚じゃなかったんだって。謹んでお詫び申し上げますわ。

  
   
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