小林リズムの紙のむだづかい(連載262)

小林リズム

小林リズムの紙のむだづかい(連載262)
清水正への原稿・講演依頼は 　qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp　宛にお申込みください。ドストエフスキー・宮沢賢治・宮崎駿・今村昌平・林芙美子・つげ義春・日野日出志などについての講演などを引き受けます。

Ｄ文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp)　で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正・ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。Ｄ文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価（送料無料）でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。
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ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁　定価1200円＋税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
『ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は 　qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp　宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載262)
小林リズム
　【世界一虚しいクリスマス会】　　

　　
　あれは確か、20歳のクリスマスだった。その日はイヴの夜に友達と会って遊んでいたのだけれど、彼女が「これから元カレと会う…」と言うのでそのままお見送りして、わたしは後輩を誘い、とあるイベントに参加した。先輩から誘われていたサブカル臭（っていうの？）のするクリスマスイベントだった。行われる場所は知らない人の自宅で、同世代の男女10人くらいが入り混じって参加するのだけれど「ザ・リア充！」とは程遠い、面倒くさい人たちの集まりみたいなものだった。そもそもそのイベントのテーマが…
『好きってなんだろう？〜“好き”について語る会〜』
だったのは、参加して初めて知った。グループに分かれて夜通しで話し合うのだ。そしてそこで出た結論を発表し合う。参加している人たちはみんな揃いも揃って恋人のいないフリーな人たち。(当たり前か)。
「まず初めに、これまでの恋愛遍歴の発表を含んだ自己紹介をしてください」
というものから始まって、それぞれが恋人いない歴を公開しあった。付き合っていた人との出会いエピソードなども告白していて、最初は朗らかだった。けれどそんな雰囲気も長くは続かなかった。なんといったってテーマである“好き”についてみんなが頭をひねらせ始めたのだ。ムードも色気も皆無で、内容も自分の理想の恋愛から哲学的な方向へとシフトチェンジしていった。
　男性の“好き”は持続しないとか、そもそも“付き合う”っていう制度は必要かとか、そんな答えの出ない問いを繰り返しては話し合っていった。それなりに楽しく、白熱した場面もあったけれど、わたしは時計を見ながらちょくちょく我に返った。「あたし、何しているんだろう…。20代初めてのクリスマスなのに…」。眠気に意識が朦朧としながらも、ひたすら“好き”について考えていた。
「お互いが成長し合える関係が理想ですね。変化していくなら一緒にいても飽きないし」
と模範解答のようなことをわたしが話すと、すぐさま反対された。
「その“成長し合う”ってよく聞くけど、俺はすんなりと自分の懐におさまるような自然な関係が理想だと思う」
…そうですか…。とにかく、面倒くさい。どうでもいいようなことを延々と話し続けることが。頭だけで愛について語り合うことが。そんなことを思いつつも、わたしは決して面倒くさいのが嫌いじゃないんだよね。だから呼ばれたんだと思うけど。夜が明けて後輩と始発の山手線に乗りながら朝日を浴びた。眠たかった。散々駆使した思考はふわふわしていた。寒かった。クリスマスだった。


いやぁ…虚しかった。

　
　小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか？」
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