ユッキーの紙ごはん(連載26)

清水正への原稿・講演依頼・レポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


ユッキーの紙ごはん(連載26)


【イケメンに猛アタックして振られる悪夢も見たよ】

ユッキー


 
ホラーやオカルトものが好きなので、主にインターネットでよくそういう系統の話を探している。
結構前から流行っているのが、明晰夢というもの。話が出始めた頃は幽体離脱(魂が身体から一時的に離れて霊体だけで動くというオカルト現象)とセットで語られていた記憶があるけれど、最近では大抵、明晰夢のみが話題にされている。

明晰夢とは、夢の中で「これは夢だ」と自覚する夢のこと。夢を思いのままに操ることができるらしいとの噂で人気だ。

ホラーやオカルトが好きだからといって信じているかといえばそうではなく、むしろ「異世界に行く方法を試したら成功してしまった。もう元の世界には帰れないんだろうか。つらい」みたいな体験談を見ると、大丈夫かなこの人……と現実的な心配が湧く。妄想ぶっ飛びすぎ! と。幽霊くらいはいたほうが面白いなあとは思っています。ところでハゲの霊とかバーコード頭の霊とかの目撃談って聞かないけどどうしてなんだろう。不公平だと思う。

というわけで私は信心が浅く、オカルトファンとしては失格に近い。でも、この明晰夢は何とか習得しようと奮闘している。
なぜかというと、とんでもなく悪夢を見る頻度が高いからだ。ほぼ毎回悪夢。

現実的な悪夢からホラーな悪夢まで多種多様。
前者は、単純に恥をかく夢だとか、友人と決別する夢だとか、誰かにものすごく怒鳴られる夢など。態度の悪い店員さんと大喧嘩する夢なんてストレスが溜まった。
後者が特にひどくて、何か(例:ゾンビ、発狂している犯罪者)に追いかけられる夢なんて十八番だし、銃で撃たれたり、はたまた押し倒されて目玉にナイフをゆっくりと刺されたりするし、地面に叩きつけられた回数は数知れず。

しかも痛覚がある。そりゃ現実では撃たれたり刺されたりするどころか骨にヒビが入ったことすらないので、あくまで私の知っている痛みのレベルに抑えられているのだろうけど、痛いものは痛い。熱いと感じるほど痛い。

こういうことを人に言うと、「何か悩んでいるの……?」とやけに心配される。思いつめるタイプに見えるらしいが、それは誤解です。簡単に人に話し、ましてやエッセイに書くのは、笑い話だと思っているからで……。

だから明晰夢が見られるように頑張っているのも、こっくりさんを試す子供心のような心理なので、どうか「大丈夫かなこの人……」と哀れな目で見ないでいただければ幸いです。

それに、上に書いた、銃で撃たれた悪夢。実はこれ、私の好みど真ん中のイケメンが銃を連射しながら追いかけてきた夢だった。もし明晰夢が可能になれば、なんかこう、ハグとかできるかもしれない! さんざん撃たれたのでそれくらいの良い思いはさせてもらわないと割りに合わない。

あれ、悪夢って意外と面白いかも……。

ちなみにいちばん後味が悪かったのは、自分のマンションから飛び降りて自殺したあと、幽霊になって父に再会する夢。
幽霊だから浮いている私が(幽霊=浮いているという陳腐さがいかにも自分の夢といった感じ)「悲しい?」と聞いたら、父は無表情で「別に。仕方のないことだ」と答えた。
自殺したらみんなに泣いてもらえて、悲劇のヒロインみたいに思ってもらえるかも、とありふれた妄想をしたことがあるけれど、それは本当にばかな妄想でしかないんだろうなあと思った夢だった。



※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。