小林リズムの紙のむだづかい(連載232)

小林リズムの紙のむだづかい(連載232)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/

小林リズムの紙のむだづかい(連載232)
小林リズム
 【本当のことなんてどこにもないっす】


 相変わらずお酒を飲んで、相変わらずその場だけのお知り合いになって、相変わらず偽名のキャラクターを演じた。混沌とした意識のなかで、頭の片隅にいる冷静な自分が偽物のわたしに「なに笑ってんの?おもしろくないくせにぃ」だとか「あ、今わざとボケたでしょ」などと絡んでくるのがうっとうしい。あまりにもうっとうしいから、お酒をおかわりすることで気を紛らわす。それでもなかなか消えない。「ねぇねぇあたし、何やってるの?楽しい?」知らないよ、そんなの。

 意識も身体もすっかり疲れた日は考えなくてすむからラクだけれど、そうでない日の帰り道はひたすら虚しい。
「何が欲しくて生きてるのかわかんない」
と連絡してきた友達の言葉を思い出して、こういう気持ちになるのは自分だけじゃないからと安心させる。目的地だとか目指している先がクリアなときは、ひたすらそこに向かって走るだけだから、苦しくなることはあっても虚しくはならない。自分が何をしたくてどこに向かってるのかわからないときが、たぶんいちばん辛い。「何してるの?」と聞かれるのが怖くて、誰にでも頷いてもらえるような肩書がほしくなる。

 家に帰るには物足りなくて寄り道をした。蛍光灯の白い光に誘われて、深夜までやっている古本屋のチェーン店に足を踏み入れた。入って早々『僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから』という曲が店内で流れていて、ちょっと笑えた。「こんな時間にここに来ている人なんてたいてい虚しい人ばかりなのに、この曲をセレクトするのか…」と店員のセンスに脱帽。でも続いた歌詞が『満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから』だったから、しみじみと浸ってしまった。

 長居しながら選んだ漫画と本のタイトルは「おひとり様物語」そして「心の処方箋」。自分のわかりやすさと単純さにまた可笑しくなって、ひとりでいるのも悪くないよね、なんて思いながら帰りにコンビニに寄ってプリンとアイスを買った。期間限定ガリガリくんのシチュー味のアイスをかじりながら歩く。美味しかったよ、ミルキーでジャガイモまで入ってた。

 自分が見ているものだけが真実じゃない。むしろ自分が見ていることなんて嘘なのかもしれない。自分の都合のいいように解釈して、自分を正当化して守っているだけで。だからわたしは人に自分が思ったことを伝えるのが苦手だ。「それ、思い込みじゃん」って言われたくないから、認めたくないから、これまでも今も、いろんなことに向き合ってこなかった。不誠実だと思う。人を傷つけても、自分は傷つけないようにしているなんて。「そのとき自分が感じたことは嘘じゃないしごまかせない」そこだけは真実だからと書くことは、余計に自分勝手だろうなとも思う。本当はもっと補わないといけないこともたくさんあるのに、でもやっぱりできない。  

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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