小林リズムの紙のむだづかい(連載226)

小林リズムの紙のむだづかい(連載226)
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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小林リズムの紙のむだづかい(連載226)
小林リズム
  【22歳、まだ本当の寂しさは知りません】


   

  朝起きて、発信履歴を見て呆然とした。無差別に誰これかまわずやたらと電話をかけたという昨晩の歴史が、スマホの画面をスクロールできるくらいに残っていた。自分は何がしたかったんだろうと途方に暮れる。
寂しい病もここまでいくと末期だよね」
と友達に言ったら鼻で笑われた。そんなの、ただの酔っ払いじゃん、とバッサリ斬られて何も言えなくなった。
「リズムは寂しがっているだけで、本当は寂しくないんだよ」
と言われたので
「いや、寂しいときあるよ。自宅でひとり飲まずにはいられない夜とか」
と答えた。事実、キッチンの下にストックしてあるワインボトルも、ついに切らしてしまった。誰も家に招待していないというのに、お酒の量だけが減っていくのは自分で飲んでいるからに他ならない。夜になると考える暇や隙ができて、テレビを見ても本を読んでも満たされず、どうしてもお酒に走ってしまうのだった。
「もう一回発信履歴見てみなよ。気づくことない?」
印籠を突き付けられるようにスマホを掲げられたので、改めて見てみる。名簿順にいろんな人の名前が並んでいる。時間帯といい迷惑きわまりないし、もう、事実を消し去りたい。黙っていると友人は続けて言い放ち、さらにわたしを突き落した。
「誰でもよかったってことでしょ?電話の相手をしてくれるなら」
きーんと耳の奥で何か鳴った。鋭すぎてもろもろが負傷した。えぐられて切り刻まれた感じ。何が嫌かって、やっぱり己を見つめろと鏡を差し出されるのがいちばんキツい。
「会いたいって思う人がいるときのほうが淋しいよ。リズムは今までそれに耐えられないから逃げて恋愛してこなかったんじゃん」
刹那的な寂しさを紛らわせるために、手っ取り早く電話をかけまくり、その場限りの時間を埋めようとするなんて確かに本当の意味で寂しがっているわけではないのかもしれない。誰かに相手をしてもらってやり過ごせば、それだけで解消されるお手軽な寂しさ。

 わたしの寂しさってスナック菓子みたいなんだなぁ。美味しいからやめられないし、止まらない。カロリーだけはやたらと高いのに、なんの栄養にもならない。だらしなく太っていくだけで、ちっとも美しくならない。
「寂しい寂しいって求めてばっかりいる人のところには、たいてい似たような人が寄ってくるだけだよ」
そうね、本当にそうだよね。欲しがったり求めたりしている者同士がくっついたってお互いに擦り減らすだけでうまくいかないよね。わたしには誰かに何かをしてあげられるほどの余裕や優しさや思いやりってあるのだろうか。…なさそうだから、頑張ってつくってみるとか、掘り起こしてみるとかしよう。寂しいからって発信魔の面倒くさいにならない…!

 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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