小林リズムの紙のむだづかい(連載224)

小林リズムの紙のむだづかい(連載224)
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小林リズムの紙のむだづかい(連載224)
小林リズム
 【緑色のゼリー】


   
 メロンのゼリーを食べていた。冷蔵庫で先に見つけたわたしは、「早い者勝ちね!」と言ってひとつしかないそのゼリーをスプーンですくって見せびらかしながら食べていた。弟が「ひとくちちょうだい」と言うので、「だめ!」と怒った。それでも弟は「ひとくちだけちょうだい」と一生懸命に頼んでくる。しまいには弟は手でゼリーをわしづかみにして食べた。「もう、やめてよ!」と怒るわたしに「ごめんなさい」と申し訳なさそうに俯く弟。

 …という夢をみた。起きた瞬間に悲しくなった。メロンゼリー、ちゃんと弟にあげればよかった…、という後悔と、健気に「ひとくちだけちょうだい」とたどたどしい口調で頼んでくる小学生くらいの弟がせつなくてたまらなかった。ねえ、なんでそんなに意地悪なのよ、たかがメロンゼリーで…。
 けれどよくよく考えれば現実の弟はそんなに健気ではないし、むしろ成人してしまっているからごついし、声も低いし、無愛想だし、ひとかけらも可愛げなんて残っていないのだけど、それでもわたしは現実世界の弟に電話をしてしまったよね。そしてメロンゼリーの夢の話をしたよね。まあ「ふーん」という大して興味のなさそうな返事をして最終的には「ふんっ」と鼻で笑われただけだった。わたしの行き場のない弟への思いはどう処理すればいいものなのか…。

 たまにだけれど「同じ夢を見ていればよかった!」と思うことがある。もしくは「同じ夢を見ていてほしい!」という願望。好きな人と幸せな毎日を送っている、なんていう都合のいい夢を見たときに「あの人もこの夢を見ていたらわたしのことを好きになるはず」という変な確信があって、もちろんそんなことはありえないから「どうにかしてこの夢の映像を見せたい!」と祈ったりする。そうやって夢世界で人とつながるということが現実にあるのかどうかはわからないけれど、吉本ばななさんの『キッチン』に出てきた、主人公のみかげと雄一が同じ夢を見ていたというシーンにはずいぶんと憧れた。夢のなかでふたりして緑色のタイルを磨きながら歌を口ずさむのだけど、きゅうって音が鳴るくらいにせつなくてよかった。
 人生のなかで1回とか2回くらい、そういう小さな奇跡って起こるのかもしれない。その日を今から待ち遠しい。でもそういうのってまったく予期しないタイミングで起こる気がするし、こうやって願っている時点で遠ざかっている気もするから、まだ当分は先だと思う。
  

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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