星エリナのほろよいハイボール(連載34)
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星エリナのほろよいハイボール(連載34)
本当は言えてない
わがまま。うそつき。見栄王。典型的B型女子。私の性格って、わかりやすくて、わかりにくい。
就活に向けて、自分の性格を相手にちゃんと伝えられるように分析しよう、っていうのをやってみた。書き出してみると本当にふざけた性格だな、と思う。これを伝えたら、企業の方はどう思うんだろう。面白い、雇ってみよう、って思う? それこそふざけた企業だよね。
じゃあ、どうやって伝えればいいんだろう。誰もが思っているんじゃないだろうか。自分が思う自分の性格を正直に伝えたって、全然だめなんでしょ。面接って正直者が負けるのかな。みんなは私に「ほしちゃんは大丈夫だよ」って言う。他人だからね、当たり前なんだけど、ひとごと。でもこの気持ちもみんな持ってると思う。不安で不安でしょうがない、大学三年生。
個性的で物事を正直に判断し、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、とはっきり言います。
まーキレイにまとめるとこんな感じかな。こんなこと言われたら、私はつまらない人間だな、と判断するけれどね。それはさておき、これもうそ。本当は言えてない。
私の友達に、本当に物事の好き嫌いをはっきり言う人がいる。その人は私なんかとは比べ物にならない個性的。ファッションもね。好きな漫画、小説、映画、音楽、全部楽しそうに話す。「これ読んだ?」とか「この曲好きなんだよねー」とか。でも私はいつもそれに応えられていない。その人のことを本当に尊敬する。
私だって、好きなものは好きだって言う。でもその人と私との違いは大きい。その人はとても堂々としてる。私は、本当は、すごく不安。相手の反応を気にしてる。気にして、言えないときもある。この人みたいに堂々としてたい。もちろん友達にだって、不安なことはあると思う。将来とかね。でも、自分が好きなものにくらい、自信を持ちたい。ちょっと、悔しい。
わがままもうそも見栄も堂々とやりたい。今の私はそれらをファッションのように利用していて、私は個性的な人間なんですアピールしているだけ。ちゃんと、わかってます。本当にださい、格好悪いって思う。
中学校のころの自分が見たら、どう思うだろう。つまんない人間になりやがって、とか言いそうだな。すごく口が悪い女の子だったからね。あの頃みたいに、本橋先生に叱られたいと最近よく思う。中学三年生の合唱コンクール前にも一度叱られたっけ。アルトパートの音程がすごく難しくて、なかなか音がとれなかった。吹奏楽部員は私だけ。一生懸命覚えたけれど、ソプラノパートと合わせるとあんまりきれいじゃなくて、ちょっとふてくされてた。
「難しいからあなたをアルトパートに入れたのよ。しっかりしなさい、あなたしかいないんだから」
なんだそれって当時はさらにふてくされた。だって、女の子に生まれたからにはやっぱり高い声でメロディを歌いたいじゃない。なのにアルトパートに指名されて、私の声そんなに低いかって思ってた。でも、今思うとすごく嬉しいよね。私ならきっとできるって信頼して指名してくれたんだから。
もう一度、言ってくれないかな。しっかりしなさいよ、って。
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