小林リズムの紙のむだづかい(連載211)

小林リズムの紙のむだづかい(連載211)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載211)
小林リズム
  【ジェラシービーム】
   

 嫉妬心なんて、表に出さないほうがエレガントに決まってる。だから、もし牙を向けられたら果敢に立ち向かったりせずに、何食わぬ顔でへらへら笑って適当にあしらいたいし、相手が視線から送り込んでくるジェラシービームにも気づいていないふりをしてやり過ごしたい。何もわからない鈍感な女になったほうがひっかかりがないし、敵も張り合いのない相手には疲弊して怒りの矛先を変える。嫉妬したいならすればいい。どうぞ、遠慮なく。ただし当方、ジェラシービーム受信機能においてはご対応できません。よって、満足できる結果が得られる保証はございません。悪しからず。

 問題は、自分が誰かに嫉妬をしてしまうとき。理不尽な現実を目の当たりにして、納得できずに牙をむき出してしまう、わたし自身なのだ。やり場のない思いをぶつけなければおさまらない、どろどろした感情がぐつぐつと煮え立って、感情のコントロール装備を見失ってしまう。

 公開アイドルオーディションを受けたときに煮込まれたのは、綺麗な女の子たちのビジュアルへの嫉妬ではなかった。何もしないでも許される、もしくは何もしていないように見えるのに応援されていることへのジェラシーだった。
「彼女たちの最大の魅力は、無策なところ」
そう評価されている他の候補者の子へのエールコメントを読んだとき、頭が真っ白になって凍りついた。なんといっても、わたしはそのオーディションに策略的に挑んでいたのだから。どうすれば他の子よりも注目されるのかに心を砕き、面白がってもらいたいと仕込み、その姿が無様であろうことを気に留める余裕さえなかったのだから。
 自分とは正反対の子が「無策が魅力」と推されるのは、バカにされたような気分だった。頑張ることがマイナスに働くのだと知って、積み重ねていたものを一瞬でぐしゃっと踏み潰されたようで呆然とした。わたしはあのとき、ほとんどはじめてくっきりと明確に嫉妬心を自覚した。それは、候補者の子に向かわず、審査員にも向かわず、もっとどうにもならない人類の歴史とか、世界みたいな、そういう大きいものに対するふがいない嫉妬だった。

 通り過ぎた今なら手に取って分析しなくてもわかる。自分を中心に仕組んだトラップを策略として取り入れて全面に押し出していく、わたしには余裕がなかった。余裕がない人は人を入り込ませる隙をつくらない。自己完結している世界のなかには誰も入り込めない。人から愛される子の条件にはずせない要素は“ゆとり”や“余裕”で、それは自分を引き受けたうえで、相手を受容できる隙みたいなものだと思う。

 のどから手が出るほど欲しいと願っている人が、まったく欲しいと思っていなかった人に奪われることは、よくあることなのかもしれない。努力を積み重ねた人が、1日にして強運な人間に負けてしまうということもたぶんある。生きてるってすごい。理不尽。だからきっと面白い。だから余裕ぶってへらへら笑って、欲しいものなんてちっともないような顔をして、いつか全部手に入れる。何を。自分の納得できる未来を。

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

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