小林リズムの紙のむだづかい(連載198)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/

小林リズムの紙のむだづかい(連載198)
小林リズム
 【できれば主役になりたいんです】


  「会いたい…」
電話口から聞こえる彼女の震える声に、雨が降る真夜中に安物のビニール傘を手に全力で突っ走る。終電はとっくに終わり、タクシーを待つ時間さえ惜しく、ただただ彼女のもとを目指して、がむしゃらに。気持ちが急いて、ビニール傘が邪魔になって適当に放り投げ、トラックにひかれそうになり「バカヤロー!」と運転手に怒鳴られてもおかまいなし。街灯が彼を照らし、雨が彼の存在を濃く色づける。彼女のもとへ、愛する、彼女のもとへ…。

 …というようなシーンをドラマや漫画で見るたびに「いいなぁ…」とうっとりする。そんなこと、絶対に素面ではできない。走りながら、雨に濡れながら、ひかれそうになりながら、ふと我に返って「あれ、あたし何してるんだっけ…」と気づいたらどうするんだろう。熱くなっている自分に恥ずかしくなって耐えられそうにない。

 恋は盲目とはいうけれど、盲目というよりは泥酔だと思う。見えないのではなくて、全身で感じているだけ。自分と彼しかいない世界を、自分の人生を生きているという実感と、自分が主役だという揺るぎない現実を、身体や感情全部を使って感じているから朦朧としていて気持ちがいい。そんな充足感を得られるのって、きっと恋愛が最も効果てきめんなのだと思う。

 友達に、元カレと一緒に腕に傷を残したという女の子がいる。彼女は「恋に酔ってただけだよね」などと言っていたけれど、ちょっとだけ羨ましかった。未来のことなんて少しも考えず、刹那的に行動できる「今」という瞬間をまるごと手に入れたこと、そんなふうにすべての力を使ってまでして残したい「今」があったことが。
 「人は過去を生きているのでも未来を生きているのでもない、今を生きているのだ!」とよく言うけれど、いつだって後ろには過去が、先には未来があるから、それを無視して今だけに集中することって案外難しい。「今」は通り過ぎてしまうものだから、自分のためだけに「今」を使い切りそこに酔うのは至難のワザで。だからいっそう、誰かのために一生懸命になること、「好きなの…!」と泣いて見せること、バカみたいに人を想って不安になること、つまりは自分主演のストーリーに巻き込まれて酔うことは、その瞬間を生きたという何よりの証拠だと思う。

 今まで散々、人の恋愛話に「酔ってるぅ」なんて笑っていたわたしだけれど、そうやって人を愛せる人たちを心のなかでは羨ましく尊敬している。そして、応援してもいるよ。今は辛いかもしれないけどさ、頑張れ!

 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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