小林リズムの紙のむだづかい(連載182)

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小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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小林リズムの紙のむだづかい(連載182)
小林リズム

【9歳で男をおびき寄せる】
   
  小学生のころ、タトゥーが流行った。タトゥーといってもホンモノの刺青ではなくて、竜のデザインでもなくて、キティ―ちゃんだとか花だとかのタトゥーシールを肌にはりつけて遊ぶ、子どものお洒落だった。イルカだとか薔薇だとかのいろんな種類のシールがあって、手の甲だとか腕によく貼っていた。タトゥーシールは水に浸けてから10秒くらい肌に密着させて、ゆっくりとシートをずらすと簡単にはりつく。お湯に流しながらこすると落ちる。もって3日間くらい。

 小学4年生くらいだったわたしたちは友達とシールを交換したりして見せ合っていた。あるとき、学校へいっしょに通う幼馴染の女の子が薔薇のタトゥーシールを太ももに貼っていたことがあった。ショートパンツから伸びた脚に貼られたそれは、いつもと違うように見えた。そのときのわたしに“太ももにタトゥーシールをはる”というのは衝撃で、斬新で、面白くてすぐにマネしたくなった。いつも二の腕だとか手の甲だとかで遊んでいたから、脚にはるという発想がまるでなかったのだ。すぐさまマネをしてイルカのタトゥーシールを貼って、うきうきしながら学校に行った。

「ねえ、なんでそんなところにシール貼ってるの?」
と聞いてきたのは、隣の席の男の子だった。ぽっちゃりしていて声が大きく、なんでもかんでもハキハキとしゃべるし、よく食べる。なんでと聞かれても、幼馴染の子がはっていてそれがなんとなくかっこよく見えたから…という理由だったので思わず言葉に詰まってしまう。すると隣の席の男の子は
「もしかして、男を陥れるため?」
と大げさに手を動かして言うので、わたしは笑った。“男を陥れる”の意味がわからなかったけれど、なんとなく面白いことを言っているのはわかった。だから堂々と「そうなの」とか返したのだった。
 太ももにタトゥーシールを貼るということを深く追及せずに簡単にマネしたわたしだから、“男を陥れる”というフレーズも深く考えずに単純に気に入った。どちらもいただきもののアイディアと解釈だけれど「わたしは男を陥れるために太ももにシールを貼っているのだ」と思った。だから家に帰ってきた父から「なんでそんなところにタトゥーシールを貼ってるの?」と聞かれたとき「うーん、男をオトシイレルため?」と答えたのだった。父はびっくりした顔をしたあと、大笑いしていた。

 あれから10年以上が経った。22歳のわたしは男をオトシイレルことの意味はわかるけれど、方法やテクニックはわからずにいる。小学4年生のわたしのほうがよっぽど、才能があったかもしれないなぁ。あーあ、どこで落としてきたんだろう、魔性のエッセンスは。あのとき事もなげいとった行動の無頓着さや自由さは、9歳のわたしに見習わないといけないのか…。うーむ。

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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