インドネシア訪問(6)

九月五日、南ジャカルタ国際交流基金ジャカルタ日本文化センターでの国際シンポジウム「文学とマンガ」第二日目、三番手の講演者は日芸演劇学科教授の熊谷保宏先生。テーマは「日本の現代演劇の現状」。従来、小劇団は団員数を増やすなどしてその拡大化を推し進めてきたが、今は小劇団のまま海外公演することが多くなった。自らも小劇団を主宰する熊谷先生は、その活動などを映像で紹介した。
わたしなどは日本での前衛的な演劇活動というと、「天井桟敷」の寺山修司、「早稲田小劇場」の鈴木忠志、「黒テント」の佐藤信、「状況劇場」の唐十郎などのアングラ演劇を思い浮かべる。今日ではすでにさまざまな演劇的実験が試されつくしてしまったのではないかと思っていたので、日本における<現代演劇の状況>がどうなっているのか興味があった。大学における演劇教育の抱える問題を含め、新しい演劇を実験的に模索する<現状>はそれなりに理解できた。熊谷先生はインドネシアが気に入っているようで、熱心にコラボを提案していた。どこでだれとどのような演劇を展開するか。
最後に<鶴の恩返し>でよく知られている木下順二作「夕鶴」の一場面を、熊谷先生の演出で戸田浩司図書館事務課長が<よひょう>を伊藤景さんが<つう>をインドネシア語で熱演した。