小林リズムの紙のむだづかい(連載155)

 
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp



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小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


紙のむだづかい(連載155)
小林リズム

【エッセイ面白くないって言われちゃったぜ】
 

 新卒入社した会社を8日で辞めてから、講談社が主催するミスiDオーディションを受けたのだけど、なけなしの運を使い果たしてファイナリストに残ることができた。そもそもオーディションの経験がほとんどないうえに就活もまともにやってこなかったので“最終面接”を開催すると言われるだけで新鮮な気持ちだ。「まあ、審査員の方たちと楽しく話せればいいや」と楽天的に捉えて出陣したら、華麗なまでに粉々にされたのだった。

「あなたが書いているエッセイ読んだけど、全然おもしろくないよね」
という言葉を頂戴したのは目の前に鎮座していたエッセイストの山崎まどかさんだった。ついにこのときが来たか…と思った。くだらなくて下品なことを書いているわたしのエッセイは「笑った」とか「わかる!」としか言われたことがない。はじめてズバッと「おもしろくない!」と言ってもらったのが山崎まどかさんだったことは光栄なのだと思う。「なんか…ふつうだもん。全然下品じゃないし」とさくっと言葉を投げられた。マジか…陰毛と生理ネタじゃ弱すぎるのか…。目立ちたい一心で下品押しをしていたのに、突如として下品というアイデンティティーをはぎ取られたわたしは、途方に暮れた。やばい、下品でもなくて、エッセイもおもしろくないなら、わたしに残るものって、ないじゃん…。

「陰毛とかさぁ、ただ下品なワードをぶちこんでるだけだよね。むしろ“それで下品なんだ”って感じ」
「少年アヤちゃんは自分の痔の話とかオナニーのことまで話しているんだよ」
「服とか興味ない?服装もさ、もっと個性的にしないと!」
とさまざまなアドバイスをいただいているときにはもう、頭が真っ白だった。個性的なファッションでアピールし、痔の苦しみを語りながら歌って踊らないと売れないなんて、ゲテモノ枠のアイドルはなんて険しい道のりなのだろう…。変質者の域に達しないと“個性売り”はできないのか…。

 これは独断なのだけど、このミスiDには「王道枠」と「ゲテモノ枠」の2種類かある(気がする)。王道枠は文句なしに容姿が麗しく、そこにいるだけで価値があるような子。ゲテモノ枠は「売れそうな変わったアピールポイントがある子」だ。ゲテモノ枠は存在するだけで価値のある“商品”にはなれないから、鋭いことをズバズバ聞かれる。簡単にまとめると「アイドルにしてはそんなに可愛くないあなたは、どうすれば売れると思う?」と試されているので、そこで自分の商品価値を説明できなかったら終わりなのだ。

 この“王道枠”と“ゲテモノ枠”の差は、ほかの子たちを見ても圧倒的だった。面接の感想を聞いてみると、王道枠っぽい子たちは「みんな優しかったぁ」とか「すごく気を遣って質問してくれた」とか、「拍手してくれたよ」と朗らかに笑っている。それに比べてゲテモノ枠の子は「マジでキツかったんだけど」「風当り強い」「正直こわかったよね…」とげっそりして落ち込んでいるのだ。“カワイイ”で勝負をしないなら、売れる部分をきちんと提示すべき!というのはとても理にかなっている。そりゃそうだ。王道枠の子と話していると「この子にはキツいこと言えないよなぁ」って思うもの。この子たちって本当に、存在しているだけでありがたい。嫉妬の対象にさえならない。むしろ羨ましさを軽く飛び越えて、感謝したくなる。無理やり突っ込もうにも「こんなカワイイ子にキツい質問をするなんて意地悪な女みたいにうつるから嫌だ…」という気持ちにさえなるのだった。

 わたしは最初の“エッセイつまらない!”の一撃に朦朧としていたので、最後に「打たれ強い?」と質問されたときはどうしようかと思った。こんな状況で「実はわたし、傷つきやすいんですぅ」なんて言える人がいたらお目にかかりたい。心めった刺しで血が流れそうですよ今、なんて言えない。こんなことで衝撃受けちゃってる自分なんて恰好悪い。「アハッ、打たれ強い…と、思いますよ、アハッ」と答えるしか道はなかった。
 とはいえ、わたしは食べていかなければならない。できれば「面白くない」とプロに言われるエッセイで、食べていきたい。もう、こうなったら「山崎まどか先生も太鼓判!“全然面白くないエッセイを書く女”!」でデビューできないかな。まずくて有名なラーメン屋みたいにさ…、とか考えているあたり、わたし、ぜんぜん、打たれ強いです、ハイ。


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