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『ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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紙のむだづかい(連載152)
小林リズム
【現実は妄想より奇なり】
「おまえ、なに遅刻してるんだよ。もう30分以上も待ったんだけど」
と怒っている恋人からの電話。服がなかなか決まらなかったとか、丁寧にメイクをしたくて時間をかけたとか、言い訳したことはたくさんあるけれど、とりあえずは。
「ごめん!でも…大好きだから許して♡」
…パーフェクト!!というわけで、一生に一度でいいから言ってみたい台詞がいくつかある。けれど現実世界ではなかなか挑戦するチャンスがおとずれないので、妄想界で勝手に動き回って楽しんでいる。出会いのシチュエーションは、かけ間違えた電話番号から、空港での運命的な再会、燃えるゴミの日にプラスチックを持っていたら偶然居合わせた相手も間違えてプラスチックのゴミ袋を…など、バリエーションに富んでいる。そういうのを友達や先輩に話すたびに「はいはい、また妄想ね」と苦笑されて終わるのだけど、どうしてもやめられない。
わたしの妄想癖に拍車がかかったのは、友達のせいだと思う。年上の彼氏を持つ友達が、こんなことを話してくれたのだった。
「悪い、どうしても仕事で必要な荷物を駅のロッカーに忘れたから取ってきて!」
と彼女の誕生日のことなんてすっかり忘れて忙しそうな彼。3年くらい付き合っているうちにラブラブ期間も終了し、最近では記念日さえお祝いしないらしい。
「もう、いつもこうなんだから…。誕生日もやっぱり覚えてないし」
と軽くふて腐れながら、彼が机に忘れていった鍵を持って駅のロッカーに向かう彼女。3年も付き合っているのに将来の話もしないし、このままだらだらといつまでも一緒にいるのかなぁ…。今から新しい恋をしたいとは思わないけれど、それでもやっぱり、もうちょっとラブラブでいたかった…。さまざまな思いが交錯しながらロッカーをあける、と。
そこにあったのは、どこからどう見ても、正真正銘の指輪。指輪の横に置かれた小さなメッセージカードには「誕生日おめでとう」の文字。さっきまでのいろんな思いが一気にふっとんで、彼女は涙ぐみながら彼に電話をかけたらしい。
この話を聞いたとき、そのあまりにものキザさと、かゆさに胸が揺さぶられてイーッってなった。あとから聞いた話によると“駅のロッカーにプレゼント”というのは、わりと王道らしいのだけど、それでも彼女たちの関係性を考えたらすごく素敵な話で、何度聞いてもうっとりしてしまう。不器用な愛情表現が友達の彼にぴったりで、そんなふたりがこれからも淡々と、けれど時々こうやって愛情を感じたりしながらこれからも一緒に生きていくのだなぁ…と思ったら素敵だ。
「事実は小説より奇なり」とはいうけれど、現実だって妄想より奇なり。もちろん甘くてロマンスにあふれる妄想はたまらないし大好きだれど、それよりも濃くて険しい現実のほうが実はずっと素敵なのだろうなということは、なんとなくわかる。わたしはロマンチックなだけでない彼女たちの歩み続けるストーリーのなかで、いくつもの素敵な話を拾って聞いて、あわよくば伝えていきたいなぁと、思うのだった。
小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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